富山の旬の食材に日本酒合わせ“UMAMIフレンチ”追求!

唐澤豪氏(左)とマネジャーでソムリエの松本将尚氏(右)。美食の至高に誘う名コンビ

3品目の「オマールブルーのパイ包焼 ジェノベーゼ」(本稿冒頭の画像)は、唐澤氏のスペシャリテの一つ。ホタテや白身魚にハーブを加えた魚介のムースとオマールエビをホウレンソウで包んで焼いた香ばしいパイ料理。エストラゴンなどのハーブや野菜で作ったジェノベーゼのソースは酸味が効いていてクセになる。感動的なおいしさにテンションが上がる一品だ。

そこに供されたのは、フレッシュ感たっぷりの無ろ過生原酒「苗加屋 純米吟醸 琳青」。まだ少しシュワシュワしている活性生酒が、香ばしいパイ生地と好相性で、それだけでも満足なのだが、直後の2杯目のグラスに驚いた。何やらソムリエ松本将尚氏による秘密の仕掛けが……。同じ酒にもかかわらず、1杯目より少し温かくとろりとしているではないか! さっそく味わってみると、コンブのアロマが一気に押し寄せる。

なんと富山県産羅臼コンブの特製エキスで割った日本酒を2杯目としているのだ。これによりパイの魚介のうま味が一気に際立ち、UMAMIがさく裂。四重奏どころではなく、オーケストラ並みのUMAMIの協奏感。“UMAMIフレンチ”の真骨頂に触れて感動していると、近くのテーブルからも歓声が沸いていた。

「真魚鰹(まながつお)のソテー 紫蘇(しそ)かおるブールノワゼットソース」(左)と「フランス産仔羊のロースト 南フランスのかおり」(右)

4品目は兵庫県淡路島産のマナガツオをローズマリーなどで風味付けしたソテー。北陸で最も寒く水と空気がきれいな冬場にのみ仕込みを行う限定しょうゆ「北陸」や、磯の香りが魅力のオカワカメ、オオバのフレーバーなどを効かせている。

これには日本酒「苗加屋 夏純米」をペアリング。すっきりとした中にも、やわらかなうま味が広がる。日本人の味覚に合うからだろう、どこか落ち着き感のある一品。普段フレンチを食べ慣れない人でも違和感なく楽しめそうだ。

5品目は肉質のきめ細かな南フランス産の仔羊のロースト。絶妙な焼き加減なのでザクッとかみきれ、かむほどにジューシーなうま味に包まれる。これには若鶴酒造のウイスキーをペアリング。しかもお湯割り。芳醇なモルト香が、肉のロースト香と絡み合い、“UMAMIフレンチ”からさらに“香りフレンチ”にまで昇華される。五感が喜ぶ料理だ。

唐澤氏は「肉もお酒も、野菜も、それぞれの生産者様がこだわって作っていらっしゃるので、そのうま味や香り、食感などをぜひ五感で感じていただきたいんです。生産者の思いのこもった食材を丁寧に調理し、食材を通じてストーリーを感じていただける料理を目指しています」と客席を回りながら説明してくれた。

同店では今後も“UMAMIフレンチ”に日本酒やほかの酒なども組み合わせて、独自の美食体験を追求していくという。今年9月23日から始まる国内最大級のレストラン・イベント「フランス レストランウィーク2022」にも参加予定で、開催期間だけ同店のコース料理がランチは5000円、ディナーは8000円という特別価格で堪能できる。8月から予約がスタートするのでこの機会に訪問してみるのもいいだろう。

「Cheval de Hyotan」シェフの川副藍さん

次に紹介する「Cheval de Hyotan(シュヴァル・ドゥ・ヒョータン)」(東京・豊島)は、「ミシュランガイド東京」の「ビブグルマン」に20年、21年と2年連続で紹介されたフレンチレストラン。千葉県いすみ市出身で「いすみ大使」にも就任し、テレビなどでも活躍している川副藍さんがシェフを務める。同店も「フランス レストランウィーク2022」に参加する。

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ミシュランガイドに掲載、女性シェフの新感覚フレンチ