糖尿病治療に史上最強の効果を与える治療薬が登場

ところが先日、私に、「Tirzepatideに関してのお知らせ」が届きました。「糖尿病分野の最終兵器」と言われる新薬の発売が秒読み段階に入ったのです。

Tirzepatideという新薬は、2型糖尿病患者の半数以上の患者のHbA1cを5.7%未満まで下げます。私が、これまで体験したことがないくらいすごい「特効薬」です。もちろん一般開業医でも処方ができます。HbA1cの下降曲線は、従来の薬品と比較にならないくらいシャープに下がります。2026年には、世界の処方薬売り上げトップに君臨すると予測されています。

そうなった時、「特効薬:Tirzepatide」を「オンライン診療」が加速させるのなら、一般開業医でも処方箋をどんどん出せます。糖尿病専門医の存在価値は急降下していくことでしょう。その時、どのプラットフォームにいたら、「特効薬」を処方する医師がいるか探せるかが議論されるはず。そして、そこで検索された医師が、患者さんが希望する時間枠で「オンライン診療」を開いていたら、その外来は超人気外来になるに違いありません。

そう考えた時、自分は廃れていく側に立ってはいけないと切に思いました。父が「結核治療」で得た苦い教訓を、私は「糖尿病治療」で生かさなくてはいけないと思ったわけです。

「オンライン診療」での「D to P with D」

今後は、「D to P with D」という概念が普及します。これはどういう意味かというと、Dはドクター(doctor)の意味。Pは患者(patient)の意味。Dには専門医と一般総合医の意味があります。ですから、「D to P with D」は、「専門医が患者をみて、患者の傍には一般総合医がついてみている」という状態を指します。

糖尿病診療で例えると、血糖値やHbA1cを測定するのは、3カ月に1回の近隣の一般内科医で採血データなどを採取する。間の3カ月に2回は、糖尿病専門医と「オンライン診療」で診察を受ける、処方箋を受け取る、という意味になります。

こうした構図が普及すると、糖尿病専門医は、これまで3カ月に3回(月1回)、外来で診察していた患者さんが3カ月に2回の受診に減ります。その分の収益は減ります。さらに、HbA1cが、かりに5.2%くらいにまで下がってしまえば、もはや専門医にかかろうと考える患者さんはいなくなるでしょう。糖尿病網膜症の治療を得意とする眼科医はいなくなり、糖尿病腎症を指導する腎臓内科の医師や管理栄養士のニーズも減ります。

その結果、糖尿病専門医でありたいと願う医師は激減。糖尿病学会は縮小し肥満学会のほうが大きくなり、次は「肥満治療を専攻しよう」と志向する医師が増えるはずです。

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