かつてのコンビーフと同じ開け方

ひと通り食べて飲んだら、最後はスイーツ缶で締めくくりたい。それも、開ける段階から盛りつけまで、ずっと目が離せない面白い缶詰があるのだ。まず開け方だが、かつてのコンビーフのように鍵状の道具を使い(道具は付属している)、缶の側面をくるくる巻き取っていく。すると中から見えてくるのは、ミルクチョコレート色の食べ物だ。これは一体なにか?

缶詰ながら本格派

その正体は、わらび餅をベースにした和菓子であります。きな粉とヘラが付属しており、ヘラで切り分けて皿にのせ、きな粉を好きなだけまぶせば「缶成」。わらび餅よりもみずみずしく、ういろうや水ようかんよりは柔らかい。甘さはういろうと同じくらいだ。

つくは祢屋の「そぶくめ」(280グラム、1620円)

本来のわらび餅は日持ちがせず、作った翌日には硬くなってくるが、そぶくめは原料を見直して、缶詰にすることで賞味期間を1カ月まで延ばしてある。つくは祢(ね)屋(名古屋市)の店主が考案したオリジナルの和菓子なのだ。

それにしても、この缶詰はサイズが大きい。長辺が約16センチで、短辺は約7センチ、高さは約3センチ。手に持つと初期の携帯電話のようだ(古い話ですみません)。内容量はなんと堂々の280グラムである。大人4人で食べても満足できる量だと思う。

そぶくめは入手するのも大変で、それだけでネタになる。というのも、どこのネットショップでも扱っていないのだ。基本的には名古屋にあるつくは祢屋に赴いて買うか、電話かFAXで注文するしかない(昔ながらの通信販売だ)。実にアナログな手段であり、最新のオンライン花見に華を添えること確実であります。

(缶詰博士 黒川勇人)

黒川勇人
1966年福島市生まれ。東洋大学文学部卒。卒業後は証券会社、出版社などを経験。2004年、幼い頃から好きだった缶詰の魅力を〈缶詰ブログ〉で発信開始。以来、缶詰界の第一人者として日本はもちろん世界50カ国の缶詰もリサーチ。公益社団法人・日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認。

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