日経エンタテインメント!

朝の番組は生活のリズムをつくるのが大変

5月は朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)の金曜パーソナリティーも務めています。5月18日に生放送される『THE DANCE DAY』というダンスNo.1決定戦の番組の総合司会を僕がするのですが、その予選を『ZIP!』で放送してきたこともあって、曜日パーソナリティーのお声をかけていただいたのだと思います。

『ZIP!』の後に放送される朝の情報番組『スッキリ』にはコメンテーターとして出させてもらっています。同じ日本テレビの朝の番組といっても、カラーや役割が全然違うのが面白いです。コメンテーターは、台本があるわけではなく、MCの加藤浩次さんが振ってくれたら自分の意見をしゃべるという、本当にフリートーク。一方、『ZIP!』はコーナーが細かく分かれて構成されていて、天気予報から始まり、どこかの中継が入って、毎日やっているコーナーがあって、それぞれで短くコメントしたり、時報をそのつど言うのが役割です。扱っている内容も、より生活感があるように思います。

水卜麻美アナウンサーの進行がすごく上手で、流れるように自然にトークを埋めていきます。それに合わせてコメントするのが楽しいし、勉強にもなります。水卜さんはアナウンサーなので、芸人さんのようにギャグを言ったりするわけではないので、そんな司会術の違いも感じつつ、いろんなものを吸収できています。

僕のおすすめコーナーでは、劇団四季の『バケモノの子』が素晴らしかったので、それをおすすめさせてもらったり、トニー賞授賞式の開催をお知らせしたりとか、演劇界やミュージカル界との接点も作れればいいと思っています。やはりミュージカル俳優として出ているというスタンスは崩さずにいたいですね。

朝の番組に出ていると、よく聞かれるのが「寝る時間はあるの?」ということ。実際、『ZIP!』に出る日は3時ぐらいに起きて、スタジオに4時ごろ入って、5時50分から番組が始まります。8時に番組が終わって、そのまま稽古場に入り、10時からは6月9日から帝国劇場で公演が始まるミュージカル『ガイズ&ドールズ』の稽古です。稽古は18時くらいまでなので、最後の方はもうろうとしている感じですね(笑)。8時スタートの『スッキリ』でも前日はあまり眠れませんが、『ZIP!』はもっと早いので、寝ようとはしますが、ずっと薄く起きている感覚で、眠るのをあきらめるみたいになります。1回それをやると時差ボケというか、ちょっとずつ体内時計のリズムが狂って、次の日は前より早く眠くなったりするので、朝の番組に出ると生活のリズムをつくるのが大変です。

5月は毎日何かの収録をしているという感じの忙しい日々です。とてもありがたいことですし、自分自身にとっても勉強になることばかりなので、うまく気持ちを切り替えながら、新しいトークの仕事に取り組んでいます。

『夢をかける』 井上芳雄・著
 ミュージカルを中心に様々な舞台で活躍する一方、歌手やドラマなど多岐にわたるジャンルで活動する井上芳雄のデビュー20周年記念出版。NIKKEI STYLEエンタメ!チャンネルで月2回連載中の「井上芳雄 エンタメ通信」を初めて単行本化。2017年7月から2020年11月まで約3年半のコラムを「ショー・マスト・ゴー・オン」「ミュージカル」「ストレートプレイ」「歌手」「新ジャンル」「レジェンド」というテーマ別に再構成して、書き下ろしを加えました。特に2020年は、コロナ禍で演劇界は大きな打撃を受けました。その逆境のなかでデビュー20周年イヤーを迎えた井上が、何を思い、どんな日々を送り、未来に何を残そうとしているのか。明日への希望や勇気が詰まった1冊です。
(日経BP/2970円・税込み)
井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)、『夢をかける』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第116回は6月4日(土)の予定です。


夢をかける

著者 : 井上芳雄
出版 : 日経BP
価格 : 2,970 円(税込み)