「安い日本」変革は子供から お金の使い道一緒に検討マネックスグループ社長 松本大氏(10)

松本大 マネックスグループ社長

賃金が年々上がる諸外国から日本は取り残され、物価も賃金も長年、安い水準に張り付いたままです。成長が続く海外との内外価格差が開き、日本の不動産が安く買われるといった現象も起きています。こうした「安いニッポン」問題について、マネックスグループ社長の松本大氏はどう見ているのでしょうか。話は子どもたちへの教育まで広がります。

(9)日本の株価、3万円は通過点 中長期の上昇に3つの理由

確かに今、「安いニッポン」論が注目され、購買力の低下や国力の衰退を心配する声が上がっていますが、私はあまり真に受け過ぎない方がいいと思っています。というのも、各国の人々の生活水準を20年前と今で比較し、日本だけが下がっているとか、劣っているとかはとても思えないからです。例えば、ホテルや旅館を思い浮かべてみてください。20年前と値段はあまり変わらないけれども、サービスは格段に良くなっていませんか。給料はあまり増えていなくても価格も上がっていませんから、以前泊まれたレベルのところには今も泊まれるのではないでしょうか。米国では給料が上がっているといっても、物価も上がっています。日本はホテルや旅館だけでなく、オフィスや店も本当にきれいで快適なところが多いですが、それらと同レベルのサービスを米国で受けようと思えば、日本よりはるかに高い金額を支払わなければなりません。

安すぎる日本企業の株価

そもそも国内総生産(GDP)とか給料の額とかだけでは、人々の暮らしの豊かさを正確に測ることができるのかという疑問があります。GDPは1年間に新しく生み出された生産物やサービスの金額の総和にすぎませんから、中身が何であろうとモノやサービスが生み出され、お金が動けばGDPは増えます。そのモノやサービスが私たちや社会の幸せにつながっていても、つながっていなくても関係ない。今の社会では「GDPが増えることは良いことだ。経済のパイが大きくなれば、自分の給料も上がって使えるお金が増えるから、より良い生活ができるはず」といった考えが定着していますが、そろそろ見直した方がいいと思います。人々の幸福度や満足度など目に見えないものも含め、本当の国力や豊かさを測ることができるGDPに代わる新しい経済指標が必要です。

私は日本人の生活水準はもともと高かったし、この10年、20年でさらに上がっているので、そのことについて悲観する必要はないと思いますが、「安いニッポン」に関して1つだけすごく心配しているのは日本の企業の価格、つまり株価が安すぎることです。安すぎると簡単に企業が外国に買収されてしまいます。日本の企業が価値に見合わない価格で買収されることを防ぐためにも、日本の株価が上がっていくことはいいことだと思います。その際も外国人投資家が買って上がるよりも、日本人が買って上がる。つまり、自分たちの中で還流するモデルがいいと思います。そうすれば自分たちももうかるし、外国人が買う場合にも適正な価格を支払ってもらえるようになるでしょう。

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