日本の株価、3万円は通過点 中長期の上昇に3つの理由マネックスグループ社長 松本大氏(9)

松本大 マネックスグループ社長

日経平均株価は9月14日に3万670円と約31年ぶりの高値をつけ、その後は3万円を挟んで一進一退を繰り返しています。株価は今後、どう動くのでしょうか。最近のESG(環境・社会・企業統治)投資の潮流も含め、マネックスグループ社長の松本大氏に聞きました。

(8)50代になるとガタがくる 若者は優秀、年功序列は元凶

私が日経平均株価3万円乗せを予想したのは2017年10月のことでした。当時は2万2000円を回復したばかり。多くの人は冷ややかな反応でしたが、私は19年末には3万円台に上昇すると見込んでいました。結果的には米中関係の悪化や米大統領選を巡る混乱、新型コロナウイルス感染拡大のショックなどもあり、実現にはだいぶ時間がかかりましたが、当時の基本的な見立ては間違っていなかったと思います。3万円は到達点ではなく、通過点であり、年末にかけても株価は波を打ちながら、上がっていくと見ています。

コロナ経済対策の資金 行き場を求める

なぜ、私が中長期の上昇トレンドを見込んでいるのか。それは株価を形成する要因に構造的な変化が起きていると考えているからです。1つ目は日本企業の稼ぐ力がかつてないほど強まり、利益水準が上がっていること。2つ目は昨今のコーポレートガバナンス(企業統治)改革やアクティビスト(物言う株主)の活動によって株主還元率が上昇していること。3つ目はコロナ禍の経済対策で刷られた大量のお金が行き場を求めていることです。コロナ収束の行方や北朝鮮を巡る情勢など不安定要素はありますが、ここで挙げた3つの要因はそう簡単には変わらないでしょう。

日本では1990年代後半から政府がどんなに旗を振ろうと「貯蓄から投資へ」の流れは起きませんでした。でも、今回のような構造変化によって株価が上がっていけば、今度こそ地殻変動が起きるかもしれません。よく投資に関して「日本人は消極的で米国人は積極的だ」といった比較をする人がいますが、私は違うと思います。日本人だって米国にいて、上がり続ける株価を目の当たりにし、周りの人がもうかっているのを見れば株式を買いますよ。米国人だって日本にいて、下がり続ける株価を見ていたら株式は買わないでしょう。日本人か米国人かの違いではなく、全体のトレンドとして株価が上がっているか、下がっているかの違いなのです。ですから日本株が波を打ちながらでも上がり続ければ、放っておいても個人の株式投資家は増えると思います。

やはり何事も成功体験が周りにあるかどうかは大きいですね。起業だってそうです。米国で起業家が多いのは米国人だけが特別に強い起業家気質を持っているわけではなく、周りに起業して成功している人がたくさんいるから「自分も挑戦しよう」となるのだと思います。

ところで、私が昨今注目していることがもう1つあります。それは個人投資家のマインドの変化です。先ほど挙げた株価上昇の2つ目の要因とも関係しますが、コーポレートガバナンス改革やアクティビストの活動が活発化していることで、個人株主の間で議決権を行使しようという機運が以前とは比べようもないくらい高まっています。

次のページ
ESGに取り組む企業 市場で評価
ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら