昭和世代のビジネスパーソンであれば、「なぜ」と疑問を呈すだろう。しかし、佐久間さんは「法律や予算づくりなど政府の仕事はいい経験になった。ただ、もっと民間のプレーヤーの人たちと仕事をしてキャリアを磨きたいと思った」とあっさり転職したのだ。佐久間さんにとって官僚はキャリアパスの最初の一歩でしかなかった。

東大卒の人気就職先は「外コン・外銀」

むしろベインの方が本命だったのかもしれない。国内最大級の社員口コミサイト「OpenWork」によると、11月現在の総合評価ランキングでベインは堂々の1位。5点満点で4.84。高収入で働きがいのある会社として認知されているというわけだ。ちなみに経産省は3.54だ。

出典:OpenWork

ベインは「コンサルにはトップクラスの大学の出身者が多い。相当優秀な人材を厳選して採用している」という。同社のコンサルタントのリストを見ると、東大法卒がズラリと並ぶ。司法試験を突破したり、官僚だったりした人も少なくない。

かつての東大法卒の最優秀層は官僚と法曹に進んだ。次の層の民間企業では旧財閥系の金融、商社などの人気が高かった。しかし、「外コン・外銀」という外資系のコンサルと投資銀行への志望者が増えた。無論、法学部だけでなく、経済学部や工学部、大学院を問わず、東大生には外コン・外銀の人気が非常に高い。

佐久間さんは「かつて官僚は社会にインパクトを与えられるやりがいのある職業だった。今も基本的に変わりないと思うが、絶対的ではなく、相対的な存在になったのでは。起業家やコンサルなど、社会や企業に影響力があり、やりがいのある職業は他にも出てきている」と語る。1991年に宮沢首相が誕生して以来、この30年間に東大法卒の首相は誰もいない。東大文1、そして法学部の絶対的な存在感は揺らいでいる。

(代慶達也)

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