答えと解説

正解(間違っている説明)は、(3)体が柔らかい。前屈が得意 です。実際には、体が硬く、前屈が苦手な人のほうが糖化のリスクが高いと考えられます。

写真はイメージ=PIXTA

体内で糖が過剰になると、余った糖がたんぱく質にくっついて「糖化反応」が起こり、その後、時間をかけてAGEs(終末糖化産物:Advanced Glycation End Products、エージーイーズ)になります。そしてこのAGEsが蓄積することで、皮膚や血管、内臓、関節、骨など全身に悪影響が及び、老化が進んでしまうことが分かってきました。

糖化研究の第一人者である昭和大学医学部教授の山岸昌一さんは、「AGEsは、新型コロナウイルスなどの感染症のリスクや、アルツハイマー病などによる脳の病気とも関係していると考えられます」と解説します。

通常、体には、ウイルスなどが感染した細胞やがん化した細胞を「異物」と認識し、除去しようとする「自然免疫」のシステムが存在します。ウイルスに感染したり、がん化した細胞に対して、NK(ナチュラルキラー)細胞などが立ち向かい、除去するのもその仕組みの1つです。「しかし、NK細胞などの免疫細胞は、血糖値が高く糖化ストレスの高い状態では、その機能が落ちることが報告されています」(山岸さん)

また、アルツハイマー病の患者の脳では、アミロイドβ(ベータ)というたんぱく質が沈着して塊になり「老人斑」というシミを形成します。老人斑は、神経細胞を破壊したり、炎症を引き起こしたりして、認知機能を低下させていきます。このアミロイドβは、AGEs化すると、凝集・沈着しやすくなることが知られています。

AGEsが全身のさまざまな機能に悪影響を及ぼすとなると、気になるのは、「自分の体の中で糖化は進んでいるのか」ということです。山岸さんは、以下の項目をチェックすることで、糖化のリスクをある程度確認できると言います。

糖化リスクのチェックリスト



血圧の上と下の差が大きい
AGEsが血管のコラーゲンにたまると、血管が硬くなりしなやかさを失う。すると、血液を全身に送り届ける血管の伸縮力が低下し、上の血圧は上がり、下の血圧は下がる。

空腹時血糖値が異常値を示している。あるいは、ここ数年、HbA1cが高めになった
空腹時血糖値が110mg/dL以上になると糖化のイエローカード。またHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が高く、6.1%以上になると食後の血糖値が高くなっている可能性がある。

体が硬い。前屈が苦手
コラーゲンに糖化が起こると関節の可動域が制限され体の柔軟性が失われる。

老け顔である
コラーゲンにAGEsがたまると、皮膚の弾力性が失われ、たるみやしわに。皮膚にAGEsがたまるとシミの原因にもなる。

歯周病がある
糖尿病があると歯周病が重症化しやすいことが分かっている。AGEsは炎症を引き起こし、歯周病を悪化させる。

50代で白内障を発症した
加齢により目の水晶体にもAGEsが蓄積する。たんぱく質と水でできている水晶体が加齢によって変化し、だんだんと白く濁ってくると白内障になるが、50代で発症した場合、その変化が早まっているサイン。

いびきが大きいと指摘された
睡眠時無呼吸症候群によって低酸素状態になるとAGEsが作られやすくなる。

握力が弱い、歩くスピードが遅い
筋肉にAGEsがたまると、筋肉の細胞がダメージを受け、筋肉量が落ちる。AGEsの値が高い人ほど、握力が弱く、歩行のスピードが遅いという報告がある。

風邪をひきやすい
AGEsは病原体の侵入を阻む自然免疫の機能を低下させる。

このチェックリストで多くの項目が当てはまる場合、医療機関などで糖化の度合いを具体的に調べる方法はあるのでしょうか。

山岸さんは、「炎症の有無を調べる指標として、『CRP検査』というものがあります。CRP(C-リアクティブ・プロテイン)は、体内に炎症が起きると血液中に現れてくるたんぱく質の一種です。最近、かなり高い感度でCRPを測定できるようになってきました。この数値が高い人は、AGEsがたまっていて慢性的な炎症が起こっている可能性があります。CRP検査ができるかどうかは、かかりつけ医に相談してみてください」と話します。

また、「AGEリーダー」という医療機器で直接AGEsを測定することもできるそうです。この小型の機器を腕にのせると、15秒ほどでAGEsが測定できます。 「一部のAGEsは特異的な蛍光を発生するため、この原理を利用して開発された機器です。これまでの研究により、AGEリーダーで測定したAGEsの値と実際に皮膚に存在するAGEsの量が相関することが確認されています。一度、『AGEリーダー導入施設[注1]』で検索してみてください」(山岸さん)

[注1]AGEリーダー導入施設(https://www.ages.jp/%E5%B0%8E%E5%85%A5%E6%96%BD%E8%A8%AD/)

この記事は、「糖化は感染症の重症化や脳の老化にも関わる リスクが高い人の特徴は?」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/21/120800048/121300002/(柳本操=ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2022年5月30日付記事を再構成]

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