網かけで短く示す経営改革のポイント

ストーリーを味わっていると、所々に網かけで短く「酒巻経営改革①」といった形で行動のポイントが示される。例えば、初顔合わせのシーンのあとに置かれた「酒巻経営改革②」は「具体的な目標」。「具体的な目標を掲げることで、社員のベクトルを一つにすることが、改革の第一歩」とある。全編読み進めると24の改革ポイントが目に入っていくるしかけだ。ストーリーで著者の体験を追体験させながら、経営改革のポイントを読者の頭に刻みつける。

「名物経営者として知名度もある酒巻氏の新著だけに入荷直後からよく売れている」とビジネス書を担当する同書店の川原敏治さんは話す。酒巻氏が描くダメ会社のいろいろな実情は身につまされる読者も多いだろう。それでもやり方次第で変わることはできる。本書からは、そんな希望の種を見つけ出すことができそうだ。

『会計の世界史』、漫画版も売れ筋に

それでは先週のベスト5を見ていこう。

(1)オタクが予測する2060岡本公功著(ビオ・マガジン)
(2)時を稼ぐ男三崎優太著(KADOKAWA)
(3)マンガ 会計の世界史田中靖浩著・星井博文シナリオ・飛高翔作画(日本経済新聞出版)
(4)世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた中野信子著(アスコム)
(5)左遷社長の逆襲酒巻久著(朝日新聞出版)

(八重洲ブックセンター本店、2021年12月5~11日)

1位はゲーム業界やCGの世界で活躍し、自ら「オタク」と標榜する起業家が妄想未来シナリオをまとめた本。2位の本は若くして成功も失敗も味わった起業家が自らのお金の哲学を語る。3位は2018年にベストセラーになったビジネス教養書の漫画版。4位はテレビなどでも人気の脳科学者が頭のいい人が実践している、脳を活用してパフォーマンスを最大限発揮する方法をまとめたもので、12年刊の本に加筆・修正してタイトルを変え、再発売した本だ。今回紹介したキヤノン電子の企業再生物語は5位だった。

(水柿武志)

左遷社長の逆襲 ダメ子会社から宇宙企業へ、キヤノン電子・変革と再生の全記録

著者 : 酒巻 久
出版 : 朝日新聞出版
価格 : 1,760 円(税込み)