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メインの平台のほぼ中央に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

メインの平台のほぼ中央に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。訪れた日は、昼どきレジに列ができるほど忙しかったという。緊急事態宣言解除前にはなかったそんな日が、まだぽつりぽつりだが増え始め、これから年末の多客期へ向けて来店客回復の期待が高まる。そんな中、書店員が注目した売れ筋の本はアパレルEC(電子商取引)で急成長を遂げた経営者が社員一人ひとりが自走する組織づくりを突き進めた軌跡とその勘所を語った本だった。

あらゆる権限をメンバーに委譲

その本は久本和明『僕たちはみんなで会社を経営することにした。』(クロスメディア・パブリッシング)。柔らかくわかりやすいタイトルが目を引くこの本の著者は「CAWAII」「OTONA」などのブランドでアパレルECを展開するワンピース(兵庫県加古川市)の経営者。23歳で同社を起業、現在37歳という若さだが、「一人ひとりのメンバーが幸せを感じ、主体的に自走し、自然と利益が生まれ、自己成長する組織」を目指して2013年から実験や検証を続け、その結果「この7年で売上7倍、純利益4倍」を達成したという。その具体的な方法や経緯をまとめたのが本書だ。

「はじめに」の中で著者は「多くの人が仕事を楽しめていないように感じられる社会の中で、現代の組織の在り方に疑問を感じていました」と書き留める。そこで、さまざなな本や経営理論に触発されながら、理想の組織に向けた実験を始める。それは「メンバーを無条件に信頼し、受容し、組織をフラットにした上で、あらゆる権限を彼ら彼女らに委譲」することだった。すると、自立型の組織運営に興味を持つ人がちらほらと社内に現れ始め、自然とその輪が広がっていったという。

そのベースになるのは、対話とファシリテーションで信頼の下地をつくること。その上で「自由だけではなく痛みも分散して、責任だけではなく給与も分担する」というやり方で、自ら持っていた権限や自由を少しずつメンバーに委ねていった。そして役職もなくし、上下関係も管理という考え方もなくしていく。会社全体のことも月1回開催の自由参加型の最高意思決定ミーティングの場に決定権を委ねる。途中2期連続赤字という苦境にも陥ったが、それをも乗り越え、より進化した形で現在を迎えている。

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