2022/5/23

伝統的なラグジュアリーには「やり過ぎ感」も

――これまで『ラグジュアリー』という言葉はどういう概念で、どういう意味が込められていたと考えますか。

「高級時計であれば、ブレスレットまでゴールドでなければ価値がないといった感覚ではないでしょうか。やや『やり過ぎ感』があるというか。あと、ブランドが使う人を圧倒してしまうような関係性ですね。そうしたトラディショナル(伝統的)なラグジュアリーの観念では豪華で、自己満足を満たす産物がまず尊重され、ブランドがそのままその人のイメージになってしまいがちです。それを否定はしません。ただ、これからはその人を立ててくれるようなブランド、いわば様々な価値観に寄り添えるようなブランドが選ばれるようになるのだと思います。アウディもそんなブランドを目指しています」

「スーツはバンコクのテーラーに作ってもらったもの。アンダーステートメント(控えめな表現)な装いが好きです」

――SDGsの意識や企業としての志が反映された商品を求める人もいます。

「日本の多くのユーザーは新しいものが好きで、ファッションセンスに優れ、デザインに対するこだわりが強い。世界的なベンチマークになる消費者です。そんな方々が外見的に分かりやすいラグジュアリーを受け入れるのと同時に、内面的な満足を追求するようなラグジュアリーも高く評価していますよね。だから私はEVに対する日本の消費者の反応をとても楽しみにしているんです。私は02年に独アウディに入社しました。新入社員は工場ツアーに参加しますが、当時から生産プロセスの中で環境に配慮しており、非常に感動したことを覚えています。それから20年が過ぎ、消費者の環境意識は大いに高まりました。日本には古くからものづくりにこだわり、ものを大切にする国民性が根付いています。もったいない精神はSDGsそのものです」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)


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