
長きにわたり連載してきた「ラーメン官僚 オススメの一杯」は今回で最終回となる。このラーメンコラムを締め括る意味でも、今、ラーメン好きが食べておくべき最旬の2ジャンルから、「ここは間違いない!」という新店を採り上げることとしたい。
今年のラーメンシーンを振り返ると、特に盛り上がったラーメンジャンルは「中濃タイプのつけ麺」と、「モッチリ自家製麺を用いた淡麗ラーメン」の2つだったのではないかと考えている。よって、今回は、それらのラーメンを提供する優良2店をご紹介しよう。
★つけ麺 神儺祁(じんだぎ)【東京・西巣鴨】
~熊本の超実力店『つけ麺 魚雷』が、東京に凱旋。つけ麺+カレールーのコラボはまさに神!~
初めにご紹介するのは、東京・西巣鴨に2022年11月オープンした『つけ麺 神儺祁』。屋号の「神儺祁」は、「ジンダギ」と読み、ヒンディー語で「人生」という意味を有する。同店の運営母体は、火の国・熊本の超人気店『つけ麺 魚雷』だ。
もう少し具体的に説明しよう。『つけ麺 魚雷』は熊本の市街地(藤崎宮前駅=熊本電気鉄道=の近傍)に本店があり、熊本市内を中心に複数の直営店・系列店を出店、同地で「一大帝国」を築き上げたビッグネームだ。そんなビッグネームが今般、満を持して東京・西巣鴨の地へと進出を果たし、『つけ麺 神儺祁』を立ち上げた、という経緯である。
『神儺祁』の店長として厨房に立つのは、熊本の『魚雷』でじっくりと研さんを重ねた宮脇聖也氏。東京都内等から職人を補充せず、『魚雷』の味の要諦を知り尽くした作り手を本拠地から派遣する。東京進出に賭ける『魚雷』の意気込みが、まざまざと垣間見えたような気がした。

さて、現在(今年11月現在)、『神儺祁』が提供する麺メニューは「つけ麺」と「魚雷つけ麺」の2種類。本店の屋号「魚雷」の名を冠し、熊本の各店舗では看板メニューとして君臨する「魚雷つけ麺」は、相当な辛みがあり、食べ手をいや応なく選ぶ一品。よって、初訪問時に食していただきたいのは「つけ麺」となる。
『神儺祁』においては券売機筆頭メニューに掲げられる「つけ麺」は、なんとデフォルトで、数種類のスパイスを絶妙なバランス感覚で調合した「特製カレールー」が別皿で供される、他店ではあまり類を見ない1杯だろう。