2021/9/22

美咲 はい、でもこれも友達と企業の情報を交換し合ったら、事前にいろいろわかるし、大丈夫そうですよね。私が入っているサークルの代表も情報交換の仲間に入るみたいなんですが、この友達が企業のことにとても詳しいんです。だから大丈夫かなと思いました。

ブラック企業かどうか、友人との情報交換ではわからない

安藤先生 いいえ。残念ながら、友達との情報交換で「ブラック企業か否か?」は、わからないと思いますよ。

美咲 え!? なんでですか?

安藤先生 友人との情報交換により、できることは多くあります。例えば、効率の良い企業研究の方法や、OB訪問の内容共有などもいいかもしれませんね。

しかし「ブラック企業か否か?」については、友達との情報交換だけでは明確には判断できません。なぜなら、前回お話ししたように、給料未払いや休日なしといった明らかな法律違反を行う企業は別として、ブラック企業かを決めるのは松本さん自身という面があるからです。

ちなみに法令違反については、例えば厚生労働省から「労働基準関係法令違反に係る公表事案」が定期的に公表されています。このリストをみる際には、企業名を確認することよりも、どのような事案が起こりうるのかを見ておくとよいでしょう。

働き方について法令違反のあった企業名は厚生労働省のホームページで公開されている(写真はPIXTA)

美咲 はい、でも「ブラック企業かどうかを私が決める」というのがよくわかリません。

安藤先生 例えば、普通の家庭に生まれた若者が起業して、一代で大きな会社を作り上げたといった人の体験談や伝記を読んだことはありませんか?

大抵の場合、そういった人が会社を起こす際の逸話として、例えばトラックのドライバーとして働くことで起業資金を貯めたとか、スキルを身につけるためにあえて長時間働いたといった話がでてきませんか?

もちろん現代は、起業のためにクラウドファウンディングを活用するといった方法もあります。しかし、それはまだまだ一般的ではないでしょう。

美咲 私は人材業界に関心があるので、B社の創業者の本を読みました。確かに若い頃は、非常に長時間働いていました。

安藤先生 そうなんです。でも、下積み時代のその創業者に「そんなに働かされて大丈夫ですか?その企業はブラックですよ」と伝えたとしたら、どんな反応が返ってくると思いますか?

美咲 むしろ、将来の目標に向かって働いているのだから、「もっと働きたいのだから邪魔しないでくれ」などと言われるかもしれませんね。

安藤先生 その通りです。つまり、働き方の話と同じく、「ブラック企業か否か?」を決めるのは自分の目標や自分の軸次第という面があるということです。ただし、くどいようですが、これはあくまで健康被害を起こすような働き方はしないことが大前提です。働き方に関する満足度は、仕事内容や労働時間、そしてそれに見合う賃金や経験が得られるのかなど、複数の要素を総合的に判断して決まることになります。

そして人間関係に関わることも重要です。一緒に働く人が協力的か否かなど、職場の雰囲気も大事ですよね。

美咲 はい。

安藤先生 新入社員の松本さんが、非効率的な仕事のやり方をしているのに誰も助けてくれない、教育してくれないという状況は困りますよね?

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働きやすさ、企業の規模も影響