ファッションの「ジェンダーレス化」 日本が先行
――むしろ日本人の方がメンズジュエリーに親しんでいるのですね。
「アジアの文化では男性と女性の間でファッションのすみ分けの重要性が低いのです。非常に流動的で、メンズとウィメンズがミックスしています。とりわけ日本でその傾向が強いと感じています。非常に興味深いことに、ジェンダーレス文化の波は欧州にも押し寄せてきていますが、圧倒的にアジアが先行しており、男女のテイストの境界線が薄いと思います」
「若い世代に関してはこの10年ほどで、個性を主張したがるようになりました。行動、スタイリング、選ぶモノ、すべてで以前よりも主張が強くなったと感じます。これまでは社会的影響を受けて何かの模倣をすることが多かったのですが、いまの若者は自分の個性やセンスを大事にする。個性を表現するアイテムの一つがジュエリーなのです」


――VCAのジュエリーでもその傾向はありますか。
「VCAはそれほどメンズが強くありませんが、レディースの既存のコレクションでメンズをひき付けていきたい。マジック アルハンブラ(四つ葉のクローバーに着想したモチーフ)のロングペンダントを着けている男性を見ましたがとてもよく似合い、女性ものには見えませんでしたよ」
――そのアルハンブラにけん引され、VCAのジュエリーが新品・中古ともに売れています。これだけVCAがクローズアップされているのはなぜでしょうか。コロナ禍の時計・宝飾品の好調ぶりをどう分析していますか。
「2021年は過去最高の売り上げで、前年に比べて2桁増となりました。10年ほど前からよいトレンドの波がきていたのですが、20年から加速していると実感しています。東京や大阪に開店した旗艦店、京都でのエキシビションなどにしっかり投資して、メゾンのアイデンティティーをお客様に伝え、露出を増やしたのが理由でしょう」
「コロナショックに見舞われて旅行や食事に行けない消費者が、ラグジュアリーブランドを購入するようになっています。消費のトレンドがコトからモノに戻りつつあるようです。VCAはその波に乗ることができました」



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