悪役には演技派を起用 多様性も意識
最新作も物語はつながっている。
引退から5年後、ボンドはジャマイカで穏やかな生活を満喫していた。彼の元にCIA出身の旧友フィリックス・ライター(『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』にも登場)が助けを求めてやってくる。任務は誘拐された科学者を救出すること。やがて彼は人類に脅威をもたらす最新技術を保有する黒幕を追うことになる。ちなみに、ジャマイカは1作目『ドクター・ノオ』のロケ地であり、原作者イアン・フレミングが住んでいたこともある、シリーズにとってゆかりの深い場所だ。
今作の悪役を演じるのは『ボヘミアン・ラプソディー』のラミ・マレック。前々作『スカイフォール』ではハビエル・バルデム、前作『スペクター』ではクリストフ・ヴァルツとアカデミー賞受賞俳優が悪役を演じてきたが、今作でも同じ流れとなった。『007』シリーズは現実の世界を踏まえて、悪役の背景や狙いに反映してきた。悪役を説得力あるものにするため、アカデミー賞を受賞するような演技力のある俳優に任せているようだ。

ボンドガールは3人。レア・セドゥが前作に引き続きマドレーヌを演じるほか、謎の女性パロマ役にアナ・デ・アルマス、そしてラシャーナ・リンチが殺しのライセンス「00」のコード名を持つエージェント、ノーミ役にふんする。「00」のコード名を持つエージェントとして女性が登場するのはシリーズ初。ハリウッドで近年重視される多様性を意識したキャラクター設定といえるだろう。



さらにクリストフ・ヴァルツが演じた悪の組織スペクターのボスも再び登場する。前作で、ボスは少年時代にボンドを育ててくれた養父の息子で、一緒に育った間柄だったことが判明。劇中の最後でボンドに捕らえられた因縁の相手だ。