一品だけおかずが豪華、冷めてもOK 人気の個性派弁当

ローソンストア100の“おかず1品だけの弁当”がなぜか人気

2021年は新型コロナウイルスによる長い自粛期間が続き、自宅で弁当や総菜を食べる「中食」のニーズが高まった。食事スタイルは多様化し、弁当1つで食事を完結させるのではなく、サラダや味噌汁などと組み合わせて自分らしい食事を楽しむ人も増えた。そんな背景から、従来は定番だったバランス重視の弁当とは対極の1点集中型の弁当も支持されるようになってきた。また、旅行や外食がしづらい状況を受け、弁当で非日常や特別感を味わってもらおうという動きも出てきた。コロナ下で生まれたコンビニや外食チェーン店の「個性派弁当」を紹介する。

ローソンストア100:おかずは1品だけ? シンプルすぎる弁当

ローソンストア100では21年6月に発売したおかずがウインナーだけの「ウインナー弁当」が74万食を数える大ヒットを記録した(12月末までの累計販売数)。11月には第2弾として、おかずがミートボールだけの「ミートボール弁当」も発売した。こちらも12月末までの累計販売数が約26万食と好調だ。

ローソンストア100「ウインナー弁当」(216円)

「ウインナー弁当」のメインのおかずはウインナー5本、「ミートボール弁当」はミートボール6個だけ。超シンプルだ。値段は安いが味はあなどれない。「ウインナー弁当」のウインナーは豚肉メイン。薫製のよい香りがして、パリッと歯ごたえもいい。ケチャップがどこか懐かしい雰囲気だ。

第2弾は「ミートボール弁当」。ミートボールは鶏肉。肉のうま味を濃厚に感じられ、弾力のある肉々しい食感に驚いた。味付けはコクのあるデミグラスソースで、こちらもどこか懐かしい味だ。

ローソンストア100「ミートボール弁当」(216円)

いずれもおかずの下に塩ゆでしたパスタが少量入っており、ケチャップやデミグラスソースと絡めるとおいしいと好評。実はこれ、おかずというより、具材が転がるのを防ぐすべり止めの目的でいれたものだそう。バラン(ご飯とおかずの仕切りとなる緑色のシート)は入れず、フタもプラスチックのフタではなくラップのみにして、コストカットを図った。

同シリーズは、ローソン運営本部統括部長の林弘昭さんが「好きなものだけをとことん楽しみたいというニーズが必ずあるはず」と考えて10年前から構想していたもの。しかし社内では「お弁当には彩りやバランスが必要」など反対意見が多く、長らく発売には至らなかった。

ローソンストア100の広報担当、森口紫乃さんは、「このタイミングで発売にGOが出たのは、やはりコロナの影響で内食・中食ニーズが高まり、食シーンやライフスタイルが多様化したことが背景にあります。約200円で小ぶりサイズなので、お客様が嗜好やその時の空腹具合、気分しだいで、単品で楽しむこともできるし、ほかの食品などと自由に組み合わせていただくことも想定しています」と説明する。

支持している客層は幅広いが、ボリュームゾーンは30~40代の男性だという。この年代の男性は「お子様ランチのような味が好きな人が多い」というのが、考案した林さんの持論だ。実際に「子供の頃の夢がかなったような弁当」との声もあるのだそう。また、これらの弁当に合わせて、カップ麺や調理麺などの麺類や総菜、サラダ、レジ横の揚げ物、デザート、飲料などを購入する人も多いとのこと。現在、ウインナー弁当、ミートボール弁当に続く第3弾も検討中とのことだ。

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ミニストップ:シンプル弁当&駅弁シリーズ