DOYA銅冶社長「アフリカのすてき、アパレルで伝える」スーツ・オブ・ザ・イヤー2021 受賞者インタビュー(2)

人気のバッグがずらりと並ぶ。デザインも自分でやった。「女性たちにミシンを踏んでものづくりをしてもらうというビジネスを現地に根付かせる。どう演出してどう売るかはこちらの仕事。チャレンジのしがいがあります」 撮影:筒井義昭

大胆な配色で描いた花や月、幾何学模様。DOYA(東京・渋谷)はそんなアフリカの布製のバッグやシャツを「CLOUDY(クラウディ)」ブランドで展開する。同社社長で「SUITS OF THE YEAR 2021」のイノベーション部門の受賞者、銅冶勇人さんは、その明るい絵柄に負けない快活な笑顔が印象的だ。ゴールドマン・サックス証券(GS)勤務時代にNPO法人Doooooooo(ドゥ、東京・渋谷)を立ち上げ、アフリカに教育支援の学校を建設。異国の貧困問題を解決したい一心でぐいぐいと前に進み、現地に雇用を生むアパレルを起業した。闘う自分を奮い立たせてくれる服はいつも、スーツだ。




ビジネススタイルの世界標準といえば紺無地のスーツ。アメリカンフットボールで鍛えた銅冶さんの体にぴたりとフィットする、立体的なフォルムが特徴だ。生地は濃淡の異なる6種類の紺色の綿を調合した糸で織られ、美しく深い色味が高級感を放つ。GS時代は毎日スーツで仕事をした。朝、スーツを着ると、戦闘モードにスイッチが入った。

自分を奮い立たせるスーツ 人間力引き出す

「社会人1年目のころ、皆でスーツを着ていると横一線に並んだ、という感覚がありました。そこで一番大事なことは、一人ひとりの魅力や力といった人間力。自身の力を引き出してくれる、それがスーツだと思ったんです」

「僕が社会人になるという時に、大学時代にお世話になっていたアメフトOBの野村さんという方に呼び出されました。彼のオフィスを訪れると仕立屋さんが待ち構えていて、『お祝いにスーツを作ってやる』と言う。その方はかなり高齢で、生地は全部俺が選ぶ、と言って、僕は言われるがまま。できあがったスーツはクラシックな生地、古めかしい感じのデザインでそれほど着たいスーツではありませんでしたが、袖を通すと野村さんの思いや優しさが伝わってきます。思いが詰まったスーツ、自分を奮い立たせてくれるスーツは大切なものです」

若い頃は規格外の体形に合わせるために2万円のオーダースーツの店に通い、時にはトレンドに染まったこともあった。だが、やがて自分に似合うものは何だろうと思案するようになり、濃紺のスーツにたどり着いた。

「GSでは相対する人から嫌われない要素を身につけなさいと言われていたので、ストライプなどは選ばず、無難な濃紺が一番多かったんです。上司がよく言っていたのは『営業としてお客様の前に立つ人間は、身なりで判断される。信頼される存在になれ』ということでした」

「今の僕はカジュアルな服を着ているイメージを持たれますが、週に2回はスーツ。商談の時は必ずです。やっぱり僕の勝負服はスーツで、アパレル業界に来てから余計着るようになりました。スーツを着る人が減っていますが、僕にとっては『この時間、信念を持って臨んでいます』ということを一番表現できる服です」

SUITS OF THE YEAR 2021

アフターコロナを見据え、チャレンジ精神に富んだ7人を表彰。情熱と創意工夫、明るく前向きに物事に取り組む姿勢が、スーツスタイルを一層引き立てる。

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卒業旅行でアフリカへ スラム体験が原点に
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