中国語の入学案内の説明書も用意されているようです。日本人だけではなく、中国人の受け入れも考えているわけです。香港の人権問題もあり、英国の名門校は、中国本土ではなく、あえて日本に進出し、むしろ中国人をターゲットにしているかもしれません。

中国の富裕層は子どもの教育に非常に熱心です。中等教育の段階で海外の学校にどんどん留学させます。最近、渋渋、渋幕両中学校にもまだ数人のレベルですが、中国や韓国の子弟が入学します。1~2年で他の欧米のスクールに転校する生徒もいます。まるで転職していくかのように、より優れた教育環境を求めているわけです。

グローバル教育の波 日本の保護者も不可避

大学のみならず、中等教育でグローバル競争が始まっています。日本人だから日本の小中高等学校を経て国内の大学を卒業して社会に出ればいいという考え方は過去のモノになるかもしれません。実際、日本人にも、シンガポールなどの海外に移り住み、子どもにグローバル教育を受けさせている家庭は増えています。現地にはUWCシンガポールという世界有数の大規模なインターナショナルスクールがあります。

急速に中等教育のグローバル化が進む中、生徒のみならず保護者も意識改革が求められます。「自分は今後もずっと日本で暮らすから英語はしゃべれなくてもいい」と考えるのは安易ではないでしょうか。

私の場合、銀行員の時代に英語のトレーニングを受けました。「ミシガンメソッド」と呼ばれた、米軍が非ネーティブ向けに採用した英語学習法です。英語のテープを何度も反復して聞きながら、特訓するわけです。半年間徹底的に鍛えられ、なんとか英語をしゃべったり、聞き取ったりできるようになりました。

今はインターネットの時代なので、もっと簡単に英語のヒアリングやスピーキングを学ぶことが可能です。楽しみながら覚えるには、歌がいいと言われます。自分のお気に入りの欧米人の歌手の歌を覚え、口ずさむだけで、自然と英語力は上がります。そんな難しいことではありません。

グローバル化は他人事ではありません。渋渋、渋幕も日本に上陸してくるラグビー校など海外の中等教育機関がライバルになる可能性は高いと考えています。これからグローバル教育のあり方は大きく変わるでしょう。

田村哲夫(たむら・てつお)
 麻布高校を経て東京大学法学部卒、1958年に住友銀行(現三井住友銀行)に入行。62年に退職し、父親が運営していた渋谷女子高校を引き継ぐ。70年から渋谷教育学園理事長。校長兼理事長として83年に同幕張高校、86年に同幕張中学をそれぞれ新設。96年に渋谷女子高を改組し、渋谷教育学園渋谷中学・高校を設立。日本私立中学高等学校連合会会長も務めた。

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