ビジネス部門 ロッテホールディングス社長の玉塚元一氏

――ここから受賞者のスーツを見ていきましょう。玉塚さんのご登場です。

川西「おお、かっこいい。後ろからの光の当たり方が、K-1や!」

――玉塚さんはラグビーをしていらしたので体格がしっかりされている。スーツは麻布テーラーです。ゴージライン(上襟と下襟の間の縫い目)を低めにして、玉塚さんに合わせています。この調整で印象がずいぶん変わるんです。

川西「スタイルいいですよね。玉塚さんは、おいくつぐらいですか? 年がいってもスーツが似合うっていうのは、男として憧れますよね。(59歳と聞いて)かっこいいですねー。還暦にはちゃんちゃんこじゃなくて真っ赤なスーツ着るんじゃない」

――ロッテですから、赤は企業カラーではないかと。

水田「ぐっと今、声のトーンが上がったね。赤といえば! さすがです」

――お2人は運動は何かされていたんですか? 川西さんはラグビーですよね。

川西「ラグビーやってたんですけど。玉塚さんのポジションはどこやったろう。ナンバー8やってたんかな。タッパもありそうやし」

――玉塚さんは暑がりだそうで、あえて(重量が)軽めの生地を選ばれています。

川西「いまくらいの季節になると、ごっつい厚手の生地を着用される方がいますよね。でも、この生地はさらっとしてますね」

――「ロロ・ピアーナ」という生地です。

水田「えっ? トロピカーナ? トロピカーナって生地も出してるんですか? (生地を手にして)すごい手触りがいい。気持ちいい。高級感があります」

2人ともスーツには相当なこだわりを持っている

――先ほどゴージラインの話が出ましたが、お2人はスーツを作られるときに何かこだわりはありますか。

川西「いやー、意識したことなかったっすねえ。ゴージライン……は何かこう、すとんと落ちているのもあれば、上がっているのもありますよね」

――上がっているのはピークド・ラペル(下襟の先が剣のようにとがって上を向いている)といいます。襟は幅でも印象が変わってきますね。こうした調整ができるのがオーダースーツの魅力です。川西さんはネイビーの色にどんなこだわりがあるんですか。

川西「最初に作った青が映えるスーツというのは、舞台の演出をされていたおしゃれな方がいて、その方についてきてもらって作りました。ほんとに何百枚も生地を見たんじゃないですかね。『この青でもない、その青でもない』とずーっと繰り返して……。その方が『どんな青なんですか』と聞いてくれて、答えたのが『佐川急便の青です』と。でも生地で見るのと、スーツになって全身で見るのとでは、全然迫力が違いますね。面積が大きくなる分、すごい来ますよね。色がちょっと派手かなと思った生地は、(スーツになると)すっごく派手になるし、柄に少し特徴があるなと思っていたら、すごい個性的になるし。実際できあがったときは『これ大丈夫かな』と思いましたが、舞台映えしてよかったです」

水田「僕はネットで生地の柄を選んだんですね。柄にある粒の一つ一つがもっと小さいと思っていたのですが、ちっちゃい玉がばーっと広がったスーツだと思っていたら、実際はその30倍の大きさでした。大丈夫かなと思ったけど、結果、誰ともかぶらないし、周りからも舞台映えするとほめてもらって。その柄で(自分を)覚えてもらったこともありました」

ビジネス部門 ユーグレナ社長の出雲充氏

――次の受賞者、ユーグレナの出雲さんです。ミドリムシ(学名ユーグレナ)の会社で、緑のネクタイがトレードマークです。ネクタイに合わせるためにあえてブラックのスーツを選ばれました。日本のリングヂャケットという、名門が作られまして、生地は英国のスキャバルです。

水田「すごいですね。登場するときのライトも緑でしたね。すべて緑でしたね」

――手元のグランドセイコーの時計も緑です。お2人は緑はお召しになりますか?

水田「衣装ってのは他の人とかぶらないようにするので、誰か緑の人がいると、もうそれは選ばないようにします。(出雲さんは)僕くらい、垂れ目の方ですね」

――出雲さんはバングラデシュの教育や貧困問題にも力を入れています。バングラデシュの国旗が、また緑なんですよ。相当緑にご縁のある方ですね。緑とともに歩む人生。川西さんはネイビーとともに歩む……。

川西「他の色も着たい。あ、すみません。浮気してしまいました」

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イノベーション部門 DOYA社長の銅冶勇人氏