――国土交通省が9月に発表した21年の基準地価(7月1日時点)では、住宅地の地価上昇が都心周辺エリアにも広がる兆しが見られます。

「地価上昇が遠方へ波及する効果は限られるでしょう。テレワークの普及で、都心を離れて自然の多い郊外に引っ越す人がいると話題になっていますが、こうした動きは一部にとどまります。一次取得層の購入の基本は『都心・大都市部』『大規模開発』『駅前・駅近』です。実際、都内の人気エリアである世田谷区ですら、駅から遠く離れバスを使わざるを得ないエリアは地価が下がっています。不動産開発業者は駅から徒歩7分を超える場所で、マンション用の土地を仕入れることには慎重です」

「現在の不動産市場を大まかに分けると、価格が維持・上昇する地域は全体の10~15%、なだらかに下落を続ける地域が70%、需要が乏しく値下がりが続く地域が15~20%です。現在、活況を呈している都心不動産はごく一部にとどまります」

「バブル期には都心から30~40キロの国道16号線(東京都町田市・八王子市、相模原市、千葉市など)の外側まで地価上昇が及びました。こうした物件を購入したのは30代後半の層でした。しかし、今はその年代の人口が減り、16号線の外まで地価を押し上げる動きにはなっていません」

「むしろ、現在の一次取得層は共働き世帯が多く、自家用車も持たない傾向が強い。彼らの多くは利便性を求めて都心、駅前・駅近の高額物件を買い求めています。こうした変化も大きいといえるでしょう」

――今後の注目点は何ですか。

「22年度の税制改正です。住宅ローン控除制度の適用期間や控除額が、縮小される可能性が高いとみられています。ローンの借入金利程度に控除額(率)が低下すると、購入マインドに影響が出る可能性があります」

(木ノ内敏久)

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