罪悪感自体は大切な感情 自分に「質問タイム」を

公認心理師の塚越友子さんは「子育てについての言説も日進月歩。真に受けすぎず聞き流すことも大切」と助言する

「罪悪感自体はとても大切な感情なんです」。こう教えてくれたのは、公認心理師でコミュニケーションに関する著書がある塚越友子さん。公認心理師とは、心のケアに当たる人の国家資格だ。

塚越さんによると、人は罪悪感を覚えることで「相手との関係を修復する行動を取り、好ましくない行動を避けるようになる」という。「罪悪感には本来、ポジティブな人間関係づくりを後押しする働きがあります」(塚越さん)

だから、「罪悪感を抱く」こと自体は悪いことではない。ただし、自分が苦しくなりすぎたり他のことに支障を来したりすると悩みが深まる悪循環に陥ってしまう。そうならないためにも、罪悪感とは「上手に付き合う」ことが大切になる。

それにはどうしたらいいか。塚越さんは罪悪感にさいなまれたら、「自分への『質問タイム』」を持つことをすすめる。たとえば、「この罪悪感を抱くようになったきっかけは」「どこが悪かったと感じているのか」「(問題を)大げさにとらえていないか」「この罪悪感にはどんな役割があると思うか」など、自分にどんどん問いかけながら感じたことを言葉にしていくのだ。

すると、漠然とした気持ちが次第に整理される。それによって、次の行動につながる「健全な範囲の罪悪感」を持てるようになるという。

コツは紙に書き出すこと 「おかしな点が見つかる」

質問タイムに取り組む際は、紙にペンで書いていくことがコツ。頭の中で「こうとしか思えない」という悩みでも、書き出してみると「話が飛躍している」「明らかに矛盾している」など「おかしな点が見つかるもの」(塚越さん)だからだ。

例えば今回、自由回答で数多く寄せられたものとして、自分が働いていることで我が子に対して「他の子ほど面倒を見てやれていないのではないかと感じてしまう」(42歳、会社員)という悩みがあった。

この場合も、まずは質問タイムで「なぜそう思うのか」「根拠はあるのか」など自分自身に問いかけてみよう。すると、実は「他の子ほど」という比較に明確な根拠はなく、「良い母親」のステレオタイプに振り回されているだけだった、と気づくかもしれない。

紙に書き出して気持ちを見つめ直すことで、そんな「気づき」を得やすくなる。一連の過程を通じて、固定観念にとらわれずに自分が「本当に大切にしたいこと」は何か、見極める時間を持つことが大事だ。それは必要以上の罪悪感を手放すための大きな一歩となる。

それでも、「どうしても自分を責めてしまう」ということも。塚越さんはその場合は「誰かに優しくされたときに抱くような感覚」を思い起こし、そこに浸ってみることを提案する。この方法は「セルフコンパッション」と呼ばれ、心のパワーアップにつながるそうだ。こんな方法も試したい。

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「時間がない」 感謝やねぎらいを十分に伝える