2022/7/12

J―Winの女性会員へのアンケートでは、OBNの事例として男性が連れ立っていくゴルフや飲み会などのほか「上の顔色を見て仕事をしている人が多い」「女性に気を使いすぎて本音で話さない」といった意見が出た。男性にこういった女性の声を聞いてもらい、自ら振り返り組織の行動規範を考えてもらうことも会の狙いだ。

J―Winの会に参加し、自ら行動する男性も出てきた。デロイトトーマツグループのパートナーである栗原健輔さんは以前から、キャリアや子育てで性別による差を感じることが多かったという。女性が仕事を続ける上で障壁があることや、共働きでも男性が子育てを理由に帰りにくいことなどだ。

管理職時代に定例会に2年連続で参加しOBNについて深く学ぶうちに「問題なのはマジョリティー側の意見や仕事の進め方がマイノリティー側のそれよりも通りやすいということ」だと気付いた。

経営戦略としても、目標が明確だった時代の「あうんの呼吸」のようなスムーズさより、ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と包摂、D&I)が生み出す議論の深さやイノベーションを重視する必要性を感じた。

「自分だけが知っていても意味がないと思った」という栗原さんは、勤務先でOBNについて考える社内ワーキンググループを立ち上げた。現在約30人が加わり、月に一回、行動変革に向けた勉強会などを実施している。

他社でも同じ悩み・課題があることを知り、栗原さんらは男性向けの社外イベントも開催。400人が参加した。参加者からの「マジョリティー側の問題を男性自らが深掘りするという点に説得力を感じた」といった反応に、「手応えを感じている」。

「女性活躍推進を企業として本当に達成したいのであれば、マイノリティーである女性だけが取り組んでいても状況は変えられない」。栗原さんは、自ら動く男性が1人でも増えることを願っていると話す。

■弊害「トップも認識を」
帝国データバンクが2021年に全国2万4285社を対象に実施した調査では、女性管理職3割を達成した企業は8.6%にとどまっている。女性が管理職になりたがらない理由の一つとして「自信がない」ということがあげられるが、OBNがあることで自信を失っているケースもあるのではないか。

OBNには意思統一を図りやすいなどの側面もあり、また男性みなが同じような行動を取るわけではない。ただ内永さんは「女性が壁を感じるような組織では、外国人や障害者雇用などのD&Iを推進することも難しい」と指摘。女性リーダー育成などを支援するワークシフト研究所(東京・港)の小早川優子社長は「本当に対策をするなら組織トップがOBNを認識することも重要」と話す。
(砂山絵理子)

[日本経済新聞朝刊2022年7月4日付]