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仕事と育児の両立に取り組んでいても、保育園から子どもの発熱で連絡が入ったり、仕事でトラブルが生じたりと思うに任せぬ状況に直面することも。「体が2つあったら……」「これでやっていけるのだろうか」と悩む場面もあるかもしれません。とはいえ、育児そのものがそうであるように、共働きの子育てライフも、先々の見通しが分かれば、心の余裕を持ちやすくなるもの。「育休後コンサルタント」として活躍する山口理栄さんにアドバイスをうかがいました。

山口さんは1984年に大学を卒業し、大手の総合電機メーカーに入社。ソフトウエアの開発に携わり、2回の育児休業を経験したワーキングマザーの先輩です。会社員時代に、社内のIT(情報技術)部門で発足した女性の活躍を推進するプロジェクトのリーダーに就任。やがて退職し、2010年6月から育休後コンサルタントとして活動しています。

現在は、大企業を中心に「育休中社員向けセミナー」や「管理職向け研修」を開催するほか、育休後の働き方をくつろいだ雰囲気のなかで考える「育休後カフェ」なども開催。個人向けにオンライン相談に応じたり、動画投稿サイト「ユーチューブ」で育休を巡るQ&Aを公開したりと、育休中の人や育休復帰をした人たちを広くサポートしています。

そんな山口さんによる動画で一番人気なのは、21年に公開した「育休明けですが両立がつらいので仕事をやめたい 」と題するものだとか。ただし、「育児が大変だから辞めよう」という人が多いわけではないといいます。

「辞めようかな」 キャリアの道が閉ざされたと感じたとき

山口さん(以下、敬称略) 厚生労働省が21年7月に発表した「雇用均等基本調査」によると、20年度の女性の育休取得率は81.6%です。日本で共働き家庭が専業主婦世帯を上回るようになったのは1997年以降のこと。女性の育休取得率も96年度は49.1%と半数未満でしたが、07年度は89.7%に高まり8割を超える状況が続いています。

統計が映すように「同僚や友人ら周囲に育休復帰した人がいる」という人が増えて、「自分もできるんじゃないかな」と思えるようになりつつある。時短調理をはじめ、家事の効率化などにつながる情報も増えて、女性が子育てをしながら働き続けていくことのハードルは、かつてよりだいぶ下がったと思います。

それでも、ある程度の規模の企業で働く女性たちが「両立がうまくいかない」と悩むのは、マミートラック(産休や育休からの復帰後、仕事の負担を必要以上に軽減した結果、キャリア形成が遅れる現象のこと)とかそういう問題ですね。本人たちは、マミートラックに乗るつもりはないのに乗らされたら、それはやる気がなくなりますよね。そこで「辞めようかな」となる。

そもそも女性管理職がいないとか、子どもを持つとキャリアの道が閉ざされるようにみえる会社だと、短時間勤務など子育て支援策が恵まれていたとしても、「辞めようかな」と考える人が出てくるように思います。

子どもがある程度大きくなれば「自分の時間」も

――山口さんの場合、2人のお子さんは既に大学を出て社会人になられました。働きながらの子育てライフの見通しも含めて、「辞めようかな」が頭によぎった場合のアドバイスをうかがえますか。子どもが小さいと、「目の前のことをこなすだけで精いっぱい」ともなりがちです。

育休後コンサルタントの山口理栄さんは「長期的な視点でキャリアを考えよう」と提案する

育休後コンサルタントの山口理栄さんは「長期的な視点でキャリアを考えよう」と提案する

山口 確かに、日々のことで精いっぱいという方もいらっしゃるかもしれません。でも大丈夫です。そうした時期はずっとは続かないので。長期的な視点でキャリアを考えよう、と申し上げたいです。

乳幼児を育てていらっしゃる方は、いまは(先々の働きながらの子育てライフの状況を)想像しにくいかもしれません。ただ、子どもの成長とともに、ひょんなことで「(子どもが)自分をあまり必要としなくなったんだな」と気づかされることがあります。

子どもは成長していきます。(生活変化の)ほんの一例ですが、我が家の場合、長女も長男も中学校に入ったら部活が忙しくなりました。「朝練のために6時台にお弁当を作らないと……」といったことはありましたけれど、時には子どもの方が私より遅く帰ることも。子どもがある程度大きくなってくると、塾や習い事に出かけている間などに「自分の時間」をつくれるようにもなります。

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