注文が入ってからギョーザを包むのが「安兵衛」鉄の掟

見るからに軽やかな「焼餃子」(462円)。カラッとしているので2皿は軽く行ける

少しだけシロップが入っていて、ほんのり甘い。甘いのはちょっと……と敬遠する人もいるかもしれないが、ギリギリ許容できる範囲だと思うので、先入観を持たず頼んでみてほしい。店ではグラスと焼酎をキンキンに冷やすため、専用の冷凍庫まで設置する力の入れようだ。ちなみに高知の「屋台安兵衛」とひろめ市場内にある「ひろめで安兵衛」では冷凍庫が設置できないため、レモン酎ハイは飲めない。

ギョーザは注文が入ってから包み始めるのが「安兵衛」の鉄の掟(おきて)となっている。0.4ミリと極薄の皮を使用しているため、先に包んで置いておくと、店が売りにしている軽やかな食べ心地にはならないからだ。皮も破れやすいのだろう。職人がヒダを巧みに寄せる技は、点心師に並ぶ素早さ。「安定して包めるようになるまでに少なくとも1年はかかる」という店長の言葉も納得の美しい指の動きは必見だ。カウンターに陣取れば目の前で見ることができる。

厨房のなかでもギョーザのエリアは聖域。火周りもピカピカに磨かれ気持ちいい

包み終わるとすぐ焼きに入る。油がなじんだフライパンに1人前7個を縦1列に並べ、スープを少量加えて蒸し焼きにする。そのあと、ポットからたっぷり注がれるのは油だ。蓋をしてギョーザを半身浴の状態で蒸し揚げにしていく。あんはキャベツがメインで、そこに高知県産のニラとショウガ、豚肉が入り、ニンニクはありとなしが選べる。

これだけ大量の油を使っているのに食べ心地はさっぱりとしているから不思議だ。食べた後も口の中に油っぽさが少しも残らない。1皿食べても胃にドスンとこないので、シメでも0次会でも2皿は軽い。味も高知とまったく変わらない。

たっぷりと注がれる油が焼きギョーザの軽さの秘訣

高知と変わらないのは味だけでない。なんと値段もほとんど変わらない。ギョーザとつまみは高知と同額、ドリンクの一部とデザートのアイスクリンだけが数十円高いだけ。都内に出店すると値段の違いに驚く店もあるだけに、これもうれしい企業努力だ。

店は70年(昭和45年)創業をうたっていることもあり、つまみには昭和のお父さんたちの晩酌をほうふつとさせる懐かしいものが多い。逆に想定外の姿で登場するポテトサラダやニラ玉などもあり、バランス感覚も絶妙だ。今回は一人0次会利用ということもあり、おとなしめに「ちくきゅう」(418円)と「切ピーマン」(308円)をオーダー。

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ギョーザ居酒屋だが、実はファミリーにも人気