鮮魚店も兼ねている「晩杯屋」は刺し身が充実

見た目も美しい「納豆オムレツ」(180円)は上野店の人気No.2のメニュー
オムレツを割ると、中からとろっと半熟の卵と一緒に納豆がこぼれ落ちる

「晩杯屋」を運営するアクティブソース(東京・品川)は昨年、大きな決断をしていた。コロナで店舗の休業が続いたこともあり、固定費のかかるセントラルキッチンを閉鎖したのだ。

「下ごしらえや調理をそれぞれの店舗で行う体制に変えました。刺し身などは、これまでセントラルキッチンでサクの状態までおろしたものを各店舗に配送していましたが、今は店で丸の魚をさばくところからやっています。セロリの浅漬けなど野菜も同様です」(アクティブソース人事総務部の鈴木悠理さん)

「マグロ刺し」(250円)で生ビールをさらに一杯。トマト割り(290円)や緑茶割り(290円)も人気

21年4月には、一部の店舗で鮮魚の小売りもスタートしており、武蔵小山本店、中延店、中板橋店、十条店では現在も継続中だ。豊洲市場から届く魚は魚種も豊富で、希望があれば店が無料でさばくサービスもやっている。2月には武蔵小山本店でマグロの解体ショーも開催したらしい。鮮魚店も兼ねている「晩杯屋」は刺し身の内容も相当充実しているに違いない。そちらにも久々に足を向けてみたくなった。

各店舗にイチから味づくりを任せることで、今後さらに、つまみのクオリティーや人気アイテムに店ごとのカラーが出てくる可能性は高い。店共通のレシピはもちろんあるだろうが、同じレシピでも同じ味になるとは限らないのが料理の一筋縄ではいかないところ。各店舗の体制強化がますます問われることになる。

喫煙ルームがあるので、喫煙者も非喫煙者も安心して時間を過ごせる

帰り際、レジでお会計をしながら、オムレツに感動したことを伝えると、上野店では、いつも高水準のオムレツを提供できるよう自主的にスタッフ間でテクニックの共有が進められているようだった。後日、改めて上野店を訪れてみたところ、たしかに前回と同じクオリティーの納豆オムレツが登場した。じっくり腰を据えて飲んでも2000円台、一人でサクッとなら2000円でお釣りがくる。これではまたすぐ立ち寄ってしまいそうだ。

(ライター 伊東由美子)

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