日経クロストレンド

新しいiPadがビジネス向きと言える理由

オールスクリーンのデザインになり、Magic Keyboard Folioが登場したことで、エントリークラスの“無印iPad”も、ついにノートPCに代わるモバイルワークステーションとして選べる対象になった印象だ。つまり第10世代のiPadは「仕事に適したiPad」なのだ。

アップルのMacBookシリーズには、まだセルラー通信機能を内蔵したモデルがない。5G対応モデルを選べばインターネットに常時接続ができるiPadは、外出先で急なビデオ会議に参加しなければならない場面などに強みを発揮する。

第10世代のiPadには、他のiPadにはない新機能が1つある。本体を横向きに構えた際に、フロントカメラの位置が上部フレームの中央になるようにレイアウトされているのだ。従来のiPadだと、本体を横向きに構えるとフロントカメラの位置が左右どちらかにずれてしまう。そのため、ビデオ通話の際に「カメラ目線」がやりにくかった。その点新しいiPadでは、ビデオ通話の相手に対して視線をまっすぐ合わせやすいので、カメラ映りがより自然になる。

本体を横向きに構えたとき、ディスプレーの上部中央にフロントカメラが位置するようにレイアウトが変更された(写真の黄色い丸)。MacBookなどのノートPCと同じになったともいえる

接続端子は第9世代のiPadまではLightningを採用していたが、第10世代iPadは汎用性の高いUSB-Cになった。今やMacBookを含む多くのノートPCやワイヤレスイヤホンなど、デジタルデバイスの充電用コネクターとしてはUSB-Cがスタンダード。iPhoneはまだLightningケーブルが必要だが、その他のデジタルデバイスの充電はUSB-Cケーブルに1本化できる。つまり、リモートワークや出張の際に持参すべき荷物を少しだが減らせるわけだ。なおiPadとUSB-Cケーブルで接続すれば、スマートウオッチやワイヤレスイヤホンもiPadから充電できる。知っておくと便利な機能だ。

USB-C端子にAirPods Proを接続すると、AirPods Proを充電できる

第10世代iPadでは、本体側面に移動したトップボタンに指紋認証センサーを採用している。新型コロナウイルス感染症についてはまだまだ油断ならない。この冬以降も、引き続き職場や外出先でマスクを装着する時間は多そうだ。そうした意味でも、マスクを着けたまま画面ロックを解除できるこの新iPadは、ビジネスパーソンの仕事用途に適したデバイスだと考えられる。

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潜在的iPadユーザーのニーズに応える