柳井正氏に学んだ人材育成法と経営 人は使命感で強くジーユー(GU) 柚木治社長(下)

ジーユー社長 柚木治氏

ファーストリテイリング傘下のジーユー(GU)を率いる柚木治社長は、部下を育てるうえで「使命感を持たせること」を大切にしている。「使命感によって人は強くなる」。ファストリの柳井正会長兼社長の志の高さに触れたことが、その信念につながった。柚木社長は柳井氏の薫陶を受けてリーダーシップに磨きをかけ、GUを国内有数のアパレル企業に押し上げた。

――人材育成において何を重視していますか。

「自発的な使命感を持たせることですね。使命感があれば情熱や勇気がわいてきます。他者への思いやりも出てきますし、行動力にも影響します。使命感があるかどうかは一番重要だと思います」

「でも簡単なことではありません。使命感は自分ひとりで生まれるものではなく、他人を優先する『利他』の心から生まれます。しかも、自分自身が満たされていないと、なかなか生まれません」

――企業でいえば、ES(従業員満足度)が低いと、CS(顧客満足度)も高くならないということでしょうか。

「そうです。自分が会社から大切にされていると感じられない人は、顧客のことも大切にしたいとは思えないのではないでしょうか。『利己』の心が満足してはじめて、利他の心や行動につながり、そして人間としての次元がひとつ上がるのだと思います」

「そこでリーダーとしては育てたい人物に仕事を任せ、期待し、後押しをします。まずは自分に自信を付けてもらうため、成功体験を積ませることも大事だと思います」

――GUではどんな成功体験がありましたか。

「2017年に初出店した香港事業ですね。現地に受け入れられ、21年8月期には初めて黒字化を果たしました。香港事業を新規で立ち上げた人物は現地の社員と一緒に商品をつくったのです。かつては日本の本社にいる日本人社員が現地の市場調査結果や社員の声を聞き、『分かったつもり』で商品を作っていました。でもそれでは現地には受け入れられません」

「商品のサンプルを検討する段階から現地社員に加わってもらい、一緒につくりました。現地のお客様に気に入ってもらえる商品が完成し、現地の社員もお客様に商品を届けたい気持ちが高まりました。自分で分かったつもりになるのではなく、本当の意味で一緒に仕事をしないといけないと改めて思いました」

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