トヨタ・カローラ クロスZ コスパ自慢のSUV

2021/11/21
トヨタ・カローラ クロスZ(FF/CVT)
webCG

半世紀以上におよぶ「トヨタ・カローラ」の歴史において、初のSUVとなる「カローラ クロス」。「新空間 新感覚 COROLLA」を開発コンセプトに掲げるニューモデルの仕上がりは? 純ガソリンエンジン車の上級グレードで試した。

低価格も大きな武器

トヨタは小型/普通車の国内シェアが50%を超えるメーカーとあって、SUVも豊富に用意する。前輪駆動ベースだけでも、Lサイズにはシティー派の「ハリアー」とラフロードも考慮した実用志向の「RAV4」があり、コンパクトサイズには「ヤリス クロス」と「ライズ」をそろえる。

しかし中間のミドルサイズには、以前は「C-HR」しか用意されなかった。C-HRは外観のデザインを優先して開発された5ドアクーペ風のSUVだ。2017年には1カ月平均で約1万台を登録して、SUVの販売1位になったが、2021年1月~8月の1カ月平均は約1700台にまで下がった。4年間で17%へと縮小している。ミドルサイズのSUVは、国内市場に最も適したカテゴリーなのに、トヨタ車はC-HRのみで販売も低迷する。これはトヨタにとって悔しい話だろう。

そこで2021年9月にカローラ クロスを発売した。プラットフォームなどの基本部分は、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値を含めてC-HRや「カローラ」(セダン)、「カローラ ツーリング」(ワゴン)、「カローラ スポーツ」(ハッチバック)と共通だが、外観はRAV4に似ている。カッコよさと実用性を併せ持つ典型的なSUVで、C-HRに比べると後席や荷室が拡大されている。

カローラ クロスは2020年7月にタイで公開されたが、開発者は「開発の初期段階から、日本国内でも販売する計画だった」という。1年間の販売計画台数は、日本が約5万3000台(1カ月の計画は4400台)、タイ+台湾は約4万台、ブラジルは約5万台だ。海外でも販売されるトヨタ車としては、日本国内の比率が高い。

この販売計画からも分かる通り、カローラ クロスは、トヨタのSUVラインナップの中心に位置づけられる。大量に売りたいから、価格も割安に抑えた。

カローラ クロスのパワーユニットは、1.8リッターの純ガソリンエンジン(以下、ノーマルエンジン)と、同じ排気量のハイブリッドだ。上級グレードになる「Z」(FWD)の価格は、ノーマルエンジンが264万円でハイブリッドは299万円になる。ハイブリッドはノーマルエンジンに比べて35万円高いが、カローラやカローラ ツーリングは、同じパワーユニットの組み合わせで大半の価格差が約43万円に達する。つまりカローラ クロスでは、ハイブリッドが特に割安といえる。4WDもハイブリッドのみの設定とされているため、今は受注台数の90%をハイブリッドが占めている。

2021年9月に国内販売がスタートした、「カローラ」シリーズの新車種「カローラ クロス」。ミドルサイズの新型SUVとして成功が期待されている。
フロントまわりは日本市場用にリデザインされている。個性的なBi-Beam LEDヘッドランプも日本仕様車ならではの装備。
インテリアは、インストゥルメントパネルからドアのインナーパネルへと続く水平ラインで空間的な広さが演出されている。
最廉価グレードを除き、「カローラ クロス」の前席はスリムな背面部と高いホールド性を特徴とするスポーティーシートとなっている。
「カローラ クロス」のパワーユニットは、1.8リッター直4エンジンと、同排気量のハイブリッドシステムの2本立て。今回は前者に試乗した。

「C-HR」との差異は明らか

それでも1年間の走行距離が1万km以下で、価格を抑えたい場合、ノーマルエンジンも選ぶ価値がある。FWDのZ(264万円)に、ブラインドスポットモニター+パーキングブレーキサポートブレーキ(4万4000円)やパノラミックビューモニター(2万7500円)をオプション装着しても、税金と自賠責保険料を含めた購入予算が290万円ほどにおさまるからだ。

前置きが長くなったが、今回は、買い得感が強いノーマルエンジンのカローラ クロスZ(FWD)に試乗した。

運転席に座ると、内装の質は特に高いわけではないが、シルバーの装飾や光沢のあるブラックのパネルを使っているのに気づく。トヨタ車らしく不満のない仕上がりだ。前席の座り心地は、背もたれから大腿(だいたい)部を少し硬めに仕上げた。乗員の腰が座面にスッポリとおさまる感覚で、サポート性も良い。

後席の足元空間はコンパクトなSUVの平均水準だ。身長170cmの大人が4人乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半となる。2つ半を確保する「ホンダ・ヴェゼル」よりも狭い。それでも後席の着座位置は、C-HRに比べて46mm高く、腰の落ち込む着座姿勢を改善した。後席に座る乗員の足が前席の下側におさまりやすいこともあり、C-HRよりも快適だから、ファミリーカーとしても使いやすい。

そしてカローラ クロスは実用志向のSUVとあって、荷室長(荷室の奥行き寸法)に余裕を持たせた。カタログなどに記載される数値を見ると、荷室長は後席を使った状態で849mmでヴェゼルを上回る。しかもリアゲートの角度を立てたので、背の高い箱型の荷物も積みやすい。カローラ クロスは、タイやブラジルの市場も重視しているから、後席の居住性と併せて荷室容量にも重点を置いた。

運転席から前方を見ると、ボンネットの手前側は視野におさまり、車幅やボディーの先端位置も分かりやすい。外観が水平基調だから、側方や後方の視界も良く、最小回転半径は5.2mと小回りも利く。全幅は1800mmを超えるが、街なかでも運転しやすい。

ボディーカラーは、写真の「セメントグレーメタリック」を含む全8色が用意される。
インテリアカラーはブラック基調の1種類。シルバーのアクセントで上質感が演出される。
後席にはリクライニング機能が備わる。「Z」グレードのものは、前席と同様、本革とファブリックのコンビ仕立てとなる。
後席にはリクライニング機能が備わる。「Z」グレードのものは、前席と同様、本革とファブリックのコンビ仕立てとなる。
長尺物の積載は、後席の背もたれを倒すことで対応する(奥行きは最大1885mm)。写真のように後席部分と荷室のフロアには大きな段差が生じるが、その差を埋めてフラットなスペースがつくれる「ラゲージアクティブボックス」がオプション設定されている。
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