新型「ホンダ・ヴェゼル」のトップグレード「e:HEV PLaY」に試乗。個性的なルックスこそ好き嫌いが分かれそうだが、質感が向上した内装や実用性の高さ、EV感覚あふれるハイブリッドシステムなど、進化した2代目は侮れない魅力とポテンシャルを持っていた。
大胆なイメージチェンジ
「HR-V」の名で販売される海外市場向けを含め、ホンダ車のなかにあっても特に好評を博したグローバルモデルが、2013年末に初代モデルがローンチされたヴェゼルである。
「N-BOX」を代表とする軽自動車ばかりが多くの注目を集める国内市場において、ヴェゼルはホンダ車の存在感をアピールする貴重な一台ともなっていた。だからこそ、「きっと見た目の雰囲気もキープされるのではないか!?」という予想を見事に覆し、まったく新しい装いとともにデビューとなったのが2021年4月に発売された2代目だ。
振り返ってみれば、これまでのいくつかのモデルと同じく「ホンダ車らしい変わり身」とも紹介できそうな大胆な変身ぶりであるいっぽうで、骨格を検証すると実は「従来型のキャリーオーバー」が基本となっているのがこの新型の内容である。
実際、ディメンションを見ると全長とホイールベースは従来型と同一値となる。全幅は20mm広がったものの、それでも1790mm。最も大径のシューズを履いた仕様でも5.5mにとどまる最小回転半径とともに、国内のユーザーに対して配慮を示した姿勢をうかがうことができる。
コロナ禍や半導体不足の影響もあってかまずは写真でその姿をさんざん見せられた後に、いざ実車を前にすると、両者の雰囲気は必ずしも一致しないことに気がついた。
端的に言ってしまえばこのクルマのルックスは、実車のほうが好印象。白状すれば「何だかヘンなカッコ!」という思いに駆られた初めて写真を目にした際の印象は、いざ実車を目にするとたちまち霧散してしまったのである。



