日経MJ

2022/5/1

ごみ減の工夫も徹底

店舗にもブランドの考えに基づいたこだわりがちりばめられている。商品を持ち帰る紙袋は用意せず、必要な人には繰り返し使える手提げやポーチを購入してもらう。手提げは660円から複数サイズで展開している。香水のかおりを試す紙片はフック状になっているため、家のクローゼットにかけることで使い捨てずに香りを楽しめるようにしている。ごみを減らす工夫を徹底していることからも、消費者に哲学が伝わる。

立ち上げ時には30代以上を主要な購入者層とみていたが、実際は20代が半分以上を占める。一般的に高価格帯ブランドは30代以上の愛用者が多いことに比べると、めずらしい。

都会から遠く離れた森で行う植樹の報告にも、多くの顧客が関心を寄せた。西脇氏は「ブランドの考えに共感して商品を選んでくれる人が想定よりも多かった」と驚く。

環境や社会への配慮について手厚い教育を受けてきた20代はデジタルネーティブでもある。「SNS(交流サイト)疲れ」がいわれるように、周囲と自分を比較して自己肯定感を持ちにくい人も少なくない。西脇氏は「良いことをしたと思えることは自己肯定のひとつ。世の中に貢献することに幸せを感じる人は若い世代に多い」と感じている。

(増田由貴)

[日経MJ 2022年4月20日付]

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