日経プラスワン

具体的にはどのようにすればいいのか。小林さんによると、道具としては霧吹きなどを使用。土全体に水が行き渡るように鉢の底から水が流れ出るまで与えるのが基本だ。タイミングは乾ききる前。植物が水を吸収し始める朝の時間帯のほか、「早起きが苦手なら夜のうちにすると楽」(小林さん)になる。植物が成長する春から夏にはたっぷりと、秋から冬は少し控えめにするとよい。

室内に置いたままでは日照不足に陥る可能性がある。適度に外に出して日に当てるのが望ましい。強い日光というよりは曇りの日の光や反射光程度で大丈夫だという。夜のうちに外へ出して午前中に取り込むなど生活スタイルに合わせて考えたい。高層マンションなどで外に出せないときは適度に日の当たる窓辺などを選ぼう。真夏の暑い時期は葉焼けや水切れを防ぐため、日中は日陰に置きたい。

植物が家にあると、気になって留守にできないと感じる人もいるだろう。ただ小林さんは「2~3日ならトレーなどに水を張り、鉢をつけておこう。夏であれば、できるだけ熱気のこもらない場所がよい」と助言する。

ミニ盆栽では土の乾燥を防ぐコケが重要な役割を果たす。他の草木類より手入れしやすく、実はコケだけの盆栽も人気だという。コケの専門店「道草」の石河(いしこ)英作さんは「かわいらしく、手にのせて観察するだけで、魅力を存分に味わえる」と語る。

興味がわいてきたら、盆栽教室に足を運んで知識を深めるのも手だ。手入れに慣れてくれば、苗や鉢を選ぶところから自分でつくってみると、楽しみが増す。観葉植物とはまたひと味異なるミニ盆栽。四季の移ろいや育てる喜びを体感してみよう。

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コケが主役も 乾燥に強く

コケが主役の盆栽も手軽に楽しめそうだ。やわらかな手触りやしっとりした風情、ルーペでのぞき込んだときに広がる光景を楽しむ人が多い。コケ専門店を運営する石河さんはガラス容器の中で育てる「苔(こけ)テラリウム」をつくるなど、その魅力の発信に努めている。

その石河さんに手入れのコツを聞いた。コケの盆栽は少々乾いたくらいでは枯れないという。完全に乾いたようでも、ゆっくりと水を吸わせれば活動を再開する場合がある。しばらく留守にするときはポリ袋などに入れて密閉し、冷蔵庫に入れておくとよいそうだ。

(ライター 土井 ゆう子)

[NIKKEI プラス1 2022年5月14日付]