常に自分を「アップデート」

本書で紹介されている予測の成功例をあげてみたい。著者は国内で最初の新型コロナウイルスの感染者が見つかって間もない2020年2月にパンデミックを予測。オンラインコミュニケーションツールZoom(ズーム)の運営会社に投資した。パンデミックで人々が家に閉じ籠もればテレビ電話会議のツールが使われると考え、様々なツールを試して最も使いやすかったZoomを選んだ。その後、同社の株価は大きく伸びた。

著者はコロナ禍以前から、高速通信規格「5G」の普及によって働き方や暮らしが変わると予測していた。そうした予測の上で小さな変化を捉え、行動を起こしたからこそ投資で成功した。先の先を読む力をつければ、投資以外の場面でも、業界の将来を見通して先手を打ったり、顧客ニーズの変化を予測して企画に反映したりできそうだ。

常に自分を「アップデート」する重要性が繰り返し説かれるのが印象的だ。おごることなく周囲から学ぶ姿勢を持つことでもある。未来は読めない、と諦めるのは簡単だ。しかし、未来を少しでも予測しようと努力を続けることで得られるものは大きい。

今回の評者 = 前田 真織
2020年から情報工場エディター。08年以降、編集プロダクションにて書籍・雑誌・ウェブ媒体の文字コンテンツの企画・取材・執筆・編集に携わる。島根県浜田市出身。

プロ投資家の先の先を読む思考法

著者 : 藤野英人
出版 : インプレス
価格 : 1,738 円(税込み)