自らを客観視 組織強く

「私たちは自転車の補助輪のような存在です。いつ外れたのか誰も覚えていないくらいがちょうどいい。彼女が自走して人生を切り開いたのがすごくうれしかったです」

「最近になって、法人設立当初にいったん離れていった仲間が相次いで戻ってきてくれているのも感慨深いです。あの頃はただがむしゃらに突っ走るばかり。お金がなく、職員といっても雇用は不安定でした。理念には共感するけれど、人生をかけてまでは協力できないと何人も去っていったんです。今では就職先と考えてくれる学生もいます。働きがいのある職場と認められてきているのかもしれません。働き方改革にもますます力を入れたいです」

――メンバーを引っ張っていくリーダーとして習慣にしていることはありますか。

「自分を客観視して振り返る時間をつくるようにしています。頭の中がごちゃごちゃしている、クリアでないと感じたときには紙に向かって1~2時間、思い浮かんだ内容をひたすら書き出します。肩が凝ったときにストレッチをするような感覚ですね」

「自分のビジョンは何だったか。達成するためにはどう時間を使い、誰とどうコミュニケーションを取るべきか。自分の中で納得できれば迷わなくなると思うのです。リーダーの行動に軸があれば、他のメンバーのロールモデルになるでしょう。一人ひとりがリーダーのように考え、行動できれば、組織は強くなるはずです」

(松浦奈美)

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和洋中 友人に手料理

幼い頃から得意なのは料理で、和洋中とジャンルを問わず、様々なレシピに挑戦している。友人を自宅に招いて振る舞うこともある。最近はリモートワークが増えて運動不足が気になり、ランニングを始めたという。

支援活動に走り回る一方、自身の私生活も充実させたいと考えている。ただ20代を振り返ると、「オンオフの切り替えが苦手で徹夜もしました」。今は忙しくても午後9時には仕事を終えようと決め、休日はオフに徹するようになった。

り・ひょんしぎ 1990年、兵庫県生まれ。東京大学教育学部卒、同大大学院教育学研究科修了。教育課題に取り組む「Teach For Japan」でのボランティアを経て、2014年にNPO法人「Learning for All」を設立し、代表理事に就任。16年に結成した「全国子どもの貧困・教育支援団体協議会」では副代表理事を務める。
■リーダーを目指すあなたへ
 社会起業家を目指す人は日常生活での違和感を大切にしてください。背景にある社会構造に目を向け、人に会ったり、本を読んだりして、目指すべき社会のビジョンを描いてください。誰かのまねに意味はありません。

[日本経済新聞夕刊 2022年6月9日付]

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