――経営再建はどのように進んでいったのですか。

「全社員にカードを配り、経営や人事、福利厚生などで自由に意見・要望を書いてもらいました」

経営再建、社員の意見募る

「81年、全役員と私たち部門長クラスが比叡山のホテルに合宿し、集まった1万枚のカードを張り付けると、大会議室の壁が埋まりました。カードを裏返してトランプゲームの神経衰弱ができるほどに読み込みました」

「文化人類学者の川喜田二郎氏が考案した整理法『KJ法』に基づいて集約し、全社と部門単位でそれぞれ8つ、16の経営課題が浮き彫りになりました。16チームが議論を重ね、2年がかりでマンダム中期経営計画『MP―1』(82~87年)ができました」

――会社は変わったのでしょうか。

「意思決定と行動が速くなりました。不完全でも走りながら制度を改善していきました。雰囲気が変わると面白い商品も生まれるようになります。85年に泡状整髪料『ヘアフォーム』を発売。俳優の松田優作さんが泡を使って髪を整えるCMを流すと、爆発的にヒットしました」

「82年度に63億円だった売上高が86年度には126億円と倍増し、店頭公開を果たした88年度は183億円です。V字回復でした」

――95年に社長に就任されました。

「俊敏に挑戦する社風ができると西村育雄社長は会長に就き、私が後を引き継ぎました。就任後、洗顔ペーパー、ボディーペーパーを相次ぎ発売しました。1回使えば捨ててしまう商品ですが、洗顔ペーパーの素材は特注の100%天然コットン。ボディーペーパーは医薬部外品にすることにこだわりました」

マンダムグループ経営方針発表会でスピーチする西村氏(大阪市内のホテルで2008年4月)

「私は『紙おしぼりで顔をふくのはオジサン』、という固定観念を覆したかったのです。洗顔ペーパーは今では夏の必需品になりましたが、コモディティー化しにくい状態を保つことができています。また、女性化粧品を中心にマンダム製品はインバウンド(訪日外国人)向け需要の人気アイテムとなり、ドラッグストアでは箱買いされるようになりました」

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