中小企業を守る使命感
――今後も中小企業の後継ぎ問題は続きますか。
「むしろますます深刻になるでしょう。国の試算では25年までの5年間で約60万社が後継者不在で、黒字でも廃業に追い込まれる可能性があります。事業承継を検討している会社は増加傾向にあり、21年度に入って当社が仲介したM&Aの成約件数は前年に比べ25%ほど増えました」
――課題は何ですか。
「世阿弥は『家、家にあらず。継ぐを以(もっ)て家とす』と説いています。これは『例え自分の子であっても、その子に才能がなければ芸の秘伝を教えてはならない』という意味です。家や会社を継ぐにはそれなりの資格や資質が必要でそこに無理があると家業が衰退してしまいます」
――事業承継を促すため、対策をどう進めますか。
「単に会社を高く売ればいいわけではありません。会社が持っている技術を守り、雇用を継続し、会社を発展させてくれる買い手を探します。それには買い手の人柄や売り手側との相性なども丁寧に見ていく必要があります」
「大切なのは使命感です。日本経済には中小企業の存在が絶対に必要です。私たちにはこの中小企業を守っていく使命があります。もちろん闇雲に残せばいいわけではない。廃業した方がいい会社にはそれをお薦めし、お手伝いもします。しかし、守るべき会社は断固として守る。強い中小企業を育成するためのリーダーであり続けたいと考えています」
(前野雅弥)
■人生は出会いで変わる
わけばやし・やすひろ 1943年京都府出身。立命館大経営卒、日本オリベッティ入社。91年日本エム・アンド・エーセンター(現日本M&Aセンター)設立、92年社長、08年会長。
「会社も人生も出会いで変わる」。妻は27歳のとき、姉の家で知人のためのお見合い写真を偶然目にし、「一目で気に入った」。会わないうちから家を買い、誕生日に100本のバラを渡し、3回目に会った際プロポーズした。「今も変わらぬ人生の最良のパートナー」と話す。
わけばやし・やすひろ 1943年京都府出身。立命館大経営卒、日本オリベッティ入社。91年日本エム・アンド・エーセンター(現日本M&Aセンター)設立、92年社長、08年会長。
「会社も人生も出会いで変わる」。妻は27歳のとき、姉の家で知人のためのお見合い写真を偶然目にし、「一目で気に入った」。会わないうちから家を買い、誕生日に100本のバラを渡し、3回目に会った際プロポーズした。「今も変わらぬ人生の最良のパートナー」と話す。
■お薦めの本
サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)
100年に一度のパンデミックに見舞われた世界の現状をどうとらえるのか、また、アフター・コロナをどう生きるべきなのか。考える重要なヒントとなる。
サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)
100年に一度のパンデミックに見舞われた世界の現状をどうとらえるのか、また、アフター・コロナをどう生きるべきなのか。考える重要なヒントとなる。
[日本経済新聞夕刊 2021年12月2日付]