原点は子どものニーズ

「教材の内容から子どもとの関わり方まで、皆が蓄積したノウハウを共有する仕組みづくりを進めています。私にとって最も大変だったのはプレーヤーとして培ったやり方から少し距離を置くことでした。まるで子どもたちを見捨てるように感じました。それでも子どもとは間接的に関わっていける。活動を持続可能なものにするためにも、働きやすい職場をつくるのが大切なことだと思いました」

――新型コロナウイルスが広がったとき、リーダーとしてどう振る舞いましたか。

「20年春の感染第1波では強烈なストレスに襲われました。全国の学校が一斉休校になり、未知のウイルスから職員や子どもをどう守るか、支援を継続できるのか、頭を抱えました。ただ子どものニーズを聞くという原点を貫けばいいんだと感じました」

「20年4月1日、恒例の年度初めの全職員の研修で、目の前の子どもと親御さんの声をまず聞こうと呼びかけました。すぐ現場でアンケートをとると、休校で給食がない、親も働けない、といった悲痛な声が届きました。オンライン学習用タブレットや食料の配布を始めました」

――他の様々な団体との連携も深めています。

「子どもの貧困を本質的に解決する一助になればと業界団体をつくり、支援者同士が相談し合えるウェブサイトを運営しています。LFAの教材や研修動画は全国36団体が活用してくれています」

(松浦奈美)

娘との公園巡りで活力
り・ひょんしぎ 1990年、兵庫県生まれ。東京大学教育学部卒、同大大学院教育学研究科修了。教育課題に取り組む「Teach For Japan」でのボランティアを経て、2014年にNPO法人「Learning for All」を設立し、代表理事に就任。16年に結成した「全国子どもの貧困・教育支援団体協議会」では副代表理事を務める。
 挑戦の日々を支えているのは子どもたちの存在。休日には21年に生まれたばかりの第1子の娘と一緒に、近所の公園を巡って遊ぶのが一番の楽しみだという。
■お薦めの本
「学習する組織」(ピーター・M・センゲ著)
 チーム運営の教科書として読み込んでいます。組織に属するメンバーが互いに学び続け、変容し続けることが健全な経営にとっていかに重要か。日々意識しながら活動しています。

[日本経済新聞夕刊 2022年6月2日付]

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