トップ就任、女性の可能性広げる 女性経済学者に聞くWの未来 やればできる

2014/1/19
米国の中央銀行にあたる連邦準備理事会(FRB)の議長に、女性初のジャネット・イエレン副議長(67)の昇格が決まった。イエレン氏の議長指名を後押ししたシンクタンク「女性政策研究所」のハイジ・ハートマン所長と、ウェスレヤン大学のジョイス・ジェーコブセン教授の女性経済学者2人に米経済界での女性の地位向上などについて聞いた。

ハイジ・ハートマン氏

イエレン氏支持の嘆願書を手にするハートマン氏

――イエレン氏のFRB議長指名をオバマ大統領に促す嘆願書を発起した動機は。

「適任の女性が男性にポストをさらわれることはしばしばあります。経済学者などに呼び掛けたところ、嘆願書に24時間で250人もの署名が集まったのは驚きでした。男女の経済学者ら多数が、女性であるイエレン氏を最も適任と認めてトップの地位に推薦したことは重要な変化だと思います」

「イエレン氏や、ゼネラル・モーターズ(GM)の最高経営責任者(CEO)に就任したメアリー・バーラ氏はいずれも非常に適任であり、組織内で豊富な経験を積んできました。男性のトップは外部から起用されることも多いですが、女性は通常、組織の中でネットワークを構築し、信用を勝ち取らなければ自動的にトップ候補とはみなされません。『男性は潜在能力で、女性は実績で雇われる』と言われています」

――なぜ女性のリーダーが必要なのでしょうか。

「主な理由は2つあります。第1に、指導部は組織全体の人口構成を反映するのが望ましい。第2に、女性トップはより多くの女性を登用したり、報酬を平等にしたりするなど、男性とは異なる政策や方針を打ち出す場合が多いとの調査もあります」

「米国には(一定数の女性登用を義務付ける)クオータ制がないため進歩が遅い面もありますが、女性は議員や州知事、企業のトップや取締役、有名大学の学長にも徐々に増えています。こうした女性たちが、女性が進出できる分野に対する人々の見方を変えます」

「ツイッターが株式公開する際に、取締役会に女性がいないと大きな批判を浴びました。数年前には誰も気付かなかったのではないでしょうか」

――米財政・金融分野では女性の進出が遅れていると言われます。

「理由の1つは経済学の女性教授が少ないこと。また高校ぐらいから女性が経済学に触れる機会をつくることも必要です。イエレン氏や、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事らの存在が女性の経済学への興味を高めるきっかけになるかもしれません」

「ハーバード大学ビジネス・スクールでは、女子学生の成績が男子より劣る原因の1つが採点の方法ではないかとの観点から、講義での学生の発言を詳細に記録するなどの試みを始めました。発言は成績に大きく影響するからです。こうした試みの結果、男女の成績格差はほぼ解消したといいます。こうした組織全体のアプローチも重要です」

「クオータ制の導入は米国の文化では考えにくい。欧州などで女性議員が多い理由の1つは、比例代表制があることです。米国の下院は小選挙区制であるため、男性が選ばれがちです。また選挙資金は基本的に候補者が賄うなど、米国の政治制度は女性が当選しにくいのです。米議会の男女比率が半々になるにはあと数十年はかかるでしょう」

「女性のCEOや企業幹部の増加はゆっくりだが、特に取締役の数は増えてきています。取締役の中からさらに上の地位に就く女性も出てくるでしょう」

ハイジ・ハートマン氏 経済学者。シンクタンク「女性政策研究所」所長。イエール大学で修士号、博士号取得。1987年に同研究所を設立した。