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トップ就任、女性の可能性広げる 女性経済学者に聞く

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NIKKEI STYLE

 米国の中央銀行にあたる連邦準備理事会(FRB)の議長に、女性初のジャネット・イエレン副議長(67)の昇格が決まった。イエレン氏の議長指名を後押ししたシンクタンク「女性政策研究所」のハイジ・ハートマン所長と、ウェスレヤン大学のジョイス・ジェーコブセン教授の女性経済学者2人に米経済界での女性の地位向上などについて聞いた。

ハイジ・ハートマン氏

――イエレン氏のFRB議長指名をオバマ大統領に促す嘆願書を発起した動機は。

「適任の女性が男性にポストをさらわれることはしばしばあります。経済学者などに呼び掛けたところ、嘆願書に24時間で250人もの署名が集まったのは驚きでした。男女の経済学者ら多数が、女性であるイエレン氏を最も適任と認めてトップの地位に推薦したことは重要な変化だと思います」

「イエレン氏や、ゼネラル・モーターズ(GM)の最高経営責任者(CEO)に就任したメアリー・バーラ氏はいずれも非常に適任であり、組織内で豊富な経験を積んできました。男性のトップは外部から起用されることも多いですが、女性は通常、組織の中でネットワークを構築し、信用を勝ち取らなければ自動的にトップ候補とはみなされません。『男性は潜在能力で、女性は実績で雇われる』と言われています」

――なぜ女性のリーダーが必要なのでしょうか。

「主な理由は2つあります。第1に、指導部は組織全体の人口構成を反映するのが望ましい。第2に、女性トップはより多くの女性を登用したり、報酬を平等にしたりするなど、男性とは異なる政策や方針を打ち出す場合が多いとの調査もあります」

「米国には(一定数の女性登用を義務付ける)クオータ制がないため進歩が遅い面もありますが、女性は議員や州知事、企業のトップや取締役、有名大学の学長にも徐々に増えています。こうした女性たちが、女性が進出できる分野に対する人々の見方を変えます」

ツイッターが株式公開する際に、取締役会に女性がいないと大きな批判を浴びました。数年前には誰も気付かなかったのではないでしょうか」

――米財政・金融分野では女性の進出が遅れていると言われます。

「理由の1つは経済学の女性教授が少ないこと。また高校ぐらいから女性が経済学に触れる機会をつくることも必要です。イエレン氏や、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事らの存在が女性の経済学への興味を高めるきっかけになるかもしれません」

「ハーバード大学ビジネス・スクールでは、女子学生の成績が男子より劣る原因の1つが採点の方法ではないかとの観点から、講義での学生の発言を詳細に記録するなどの試みを始めました。発言は成績に大きく影響するからです。こうした試みの結果、男女の成績格差はほぼ解消したといいます。こうした組織全体のアプローチも重要です」

「クオータ制の導入は米国の文化では考えにくい。欧州などで女性議員が多い理由の1つは、比例代表制があることです。米国の下院は小選挙区制であるため、男性が選ばれがちです。また選挙資金は基本的に候補者が賄うなど、米国の政治制度は女性が当選しにくいのです。米議会の男女比率が半々になるにはあと数十年はかかるでしょう」

「女性のCEOや企業幹部の増加はゆっくりだが、特に取締役の数は増えてきています。取締役の中からさらに上の地位に就く女性も出てくるでしょう」

 ハイジ・ハートマン氏 経済学者。シンクタンク「女性政策研究所」所長。イエール大学で修士号、博士号取得。1987年に同研究所を設立した。

ジョイス・ジェーコブセン氏

――イエレン氏のFRB議長起用をどう受け止めますか。

「重要なポストに女性が初めて就く度に、新たな障壁を破ることになります。特に財政・金融分野で女性トップが誕生することは、GMのバーラCEO就任とあわせ、従来は男性的とみられていた分野だけに意義が大きい」

「『男性的』『女性的』という分野や職種の住み分けは、1つには化粧品業界のように顧客層を反映する場合もあれば、職業訓練の差もあります。バーラ氏は工学の学歴がありますが、当時としては少数派だったはずです。現在でも工学やコンピューター科学などの分野には女性が少ないです」

「同じ職種の中にも住み分けがあります。例えば弁護士は男女比が比較的半々に近いですが、大規模な有名法律事務所は女性の共同経営者が少ない。また多くの女性は仕事と家庭の両立の問題から、特に長時間勤務を要求される仕事には就きにくいという要因もあります」

「社会のステレオタイプな見方も影響します。だからこそ、男性的とされてきた分野に女性が進出し、ステレオタイプを破ることは効果があります。一方で看護師など従来女性的とされてきた職種にも男性が増えています」

「ある調査によると、高校で高等数学の選択に物理学を必修にしないなどカリキュラムを柔軟にしたところ、専攻する女子生徒が増えました。その結果、男性的とされてきた分野に卒業後、就職する女子生徒が増加し、収入も上がったそうです」

――女性トップがまだ少ない現状をどう思いますか。

「男女の候補で能力や適性が同じ場合、女性は例えば押しが弱いとか、交渉が苦手だというような『特徴』を指摘され、いわば間接的な差別を受ける可能性があります。またトップになるスキルを身につけにくい部署に配置されていたり、中間管理職には向いているがトップになる決断力がないと言われたりすることもあります。だからこそ、女性がトップの地位に着くことが重要なのです」

「どんな分野でもトップに就くには一定の仕事量が要求されます。女性は伝統的に家事の責任が重い。また特にキャリア女性は同様の地位の男性と結婚することが多く、家庭の事情でいずれかの妥協が必要な場合に女性が譲るケースが多いという傾向もあるのです」

「私の場合は夫が定時の仕事で出張もなかったので、会議や学会出席のための出張がしやすかった。米金融業界で働く女性には、夫が専業主夫という人も増えているそうです」

「金融など女性が少数派の分野では、トップに上り詰める女性も当然少なくなります。例えばFRB議長の候補にはイエレン氏以外ほとんど女性の名前は挙がりませんでした。ただ、財務省などでは女性の幹部も増えてきています。私が大学院で学んでいた頃は経済学部に女性の教授は一人もいませんでした。トップにつながる裾野は広がりつつあります」

――経済や金融の分野で女性のリーダーを増やす方策は。

「女性が経済学を敬遠するのはあまりにも無味乾燥だから、または理論よりも結果を生み出す分野を好むから、といった分析もあります。ただ、これもステレオタイプです」

「トップにつながるパイプラインが重要になります。まずはこの分野に女性を増やすこと。高校で経済学の授業を増やしたり、博士課程の学生を対象にしたメンター(指導役)制度を設けたりといった取り組みが行われています。また女性は少数派で孤立しがちですが、経済学会の中にある女性部会がネットワークづくりのイベントやメンター制度などを実施しています」

 ジョイス・ジェーコブセン氏 経済学者。ウェスレヤン大学教授。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済学修士号、スタンフォード大学で博士号を取得。ジェンダーと経済などに関する著書や論文多数。

(聞き手は芦塚智子)

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