免疫力を左右 白い血液「リンパ」はどこで生まれる?リンパの正体

リンパも静脈も筋肉の力によって流れる

リンパ管には自ら収縮してリンパ液をゆるやかに流す働きがあるものの、周囲の筋肉のポンプ作用で流れが促される特徴がある。「動脈の壁は厚く硬いが、静脈やリンパ管の壁はぺこぺこしたゴムチューブのように柔らかく、周囲の筋肉の影響を受けやすい形状になっている。リンパ管も静脈も逆流しないよう弁がついているので、呼吸や運動の際、筋肉で押されると、ポンプ作用で流れていきます」と大橋教授。

男性に比べ、女性のほうがむくみやすいのは「男性のほうが筋肉量が多いため、このポンプ作用が大きいからと考えられている」(大橋教授)そうだ。一方で、「血中のアルブミン量が男性のほうが多く、余分な水分がリンパに戻りやすいということも考えられる」(坂井教授)という理由もあるようだ。

図4 筋肉が伸びたり縮んだりする「ポンプ作用」によって、リンパや静脈の血液は流される。座りっぱなしでまったく脚を動かさないと、このポンプ作用がほとんどなく、滞ってしまう。そのため、細胞の間に漏れ出ている水分が戻れず、「むくみ」になってしまう

全身に600~700個あるリンパ節は免疫の担い手

ひざの裏、太ももの付け根などに集まるリンパ節は、「全身に600~700個あり、上半身のリンパ節は米粒大だが、下半身のリンパ節は大豆粒大と若干大きい。リンパ節はフィルターのような役割をしているほか、免疫細胞であるリンパ球をたくさん抱えています。ひとたび細菌などの異物が入り込むと、リンパ球は目を覚まし、血液の中に入って、ターゲットとなる細菌などの場所に行く。リンパ球が増殖するときに、リンパ節が腫れるという現象が起きます。リンパ節は免疫に重要な役割を担っているのです」(大橋教授)。

図5 リンパ節は、空豆のような形をしている。複数の輸入リンパ管から入り、被膜のすぐ下やリンパ小節の間を流れ、1~2本の輸出リンパ管から出る

「私たちの研究では、下肢のリンパマッサージをすると、血中にリンパ球が増える人が見られました。免疫力が上がった証拠ではと考えています」と大橋教授。リンパマッサージは免疫力アップにも役立つようだ。

この人たちに聞きました

大橋俊夫さん
信州大学医学部器官制御生理学教授。信州大学医学部卒業。2003年より5年間、信州大学医学部長。日本リンパ学会理事長を務め、日本のリンパ学研究の第一人者。専門は、循環生理学。著書に『リンパを流すと健康になる』(PHP研究所)など。
坂井建雄さん
順天堂大学医学部解剖学・生体構造科学教授。東京大学医学部卒。東京大学医学部解剖学教室助教授を経て、現職。専門は人体解剖学、解剖学史など。著書に『面白くて眠れなくなる人体』(PHP研究所)、共著に『ぜんぶわかる人体解剖図』(成美堂出版)など。

(日経ヘルス 白澤淳子)

[日経ヘルス2014年1月号の記事を基に再構成]

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