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ベトナムにひきつけられる日本人女性 自由さが魅力 Wの未来

2013/10/6

 今、ベトナムで多くの日本人女性が働き始めている。彼女たちをひきつけるベトナムの磁力とは何なのだろうか――。

 「今思えば無謀だった」。ベトナムの首都ハノイ市で旅行会社社員として働く執行(じっこう)なつみさん(24)はそう笑う。2012年4月、大学を卒業後すぐに、縁もゆかりもなかったベトナムへと飛び込んだ。

ベトナムは女性にとって働きやすい「緩さ」にあふれている(ハノイ市)

 大学では言語学を専攻。将来は客室乗務員になる夢を抱いていた。就職活動で外資系航空会社を30社近く受けたが、内定はもらえなかった。「フリーターになって再挑戦するか、諦めて他業界で就職するか」。答えが出ずに悩んでいた大学4年生の冬。ベトナムで企業を経営する日本人男性と日本で話す機会があった。

 急速に発展する町並み。道路にあふれるバイク。チャンスに満ちた発展途上の経済。そんな話を聞くにうちに、新興国ベトナムに夢中になった。「これだ」。インターネットでベトナムのことを調べ、この国で働こうと決めた。渡航経験はなく、知人もいない。そんな無謀な挑戦に周囲は猛反対したが、本人は意に介さなかった。「もちろん不安はあった。でもワクワク感の方が強かった」

 ただ、当初は苦労の連続だった。最初に働いた企業の給与は月500ドル(約4万9000円)。紹介されたアパートは雨漏りし、床に2~3センチの水がたまった。残業続きで休日は週1日。体力的につらく、5カ月ほどで辞めた。2社目も1カ月で退社。当時は「日本に帰ろうと何度も思った」。

「会社帰りに路上で買い物するのが楽しみ」と話す望月綾さん(ハノイ市)

 3社目に今の旅行会社と出会い、働き始めて1年。ようやく仕事に没頭できる環境を手に入れた。営業職として、現地進出する日系企業関係者に旅行や出張手配を提案して回る。仕事も覚え、得意先も増えた。かつて週1~2回かけていた親への電話も、最近はめったにしない。「もっと仕事を覚えたい。あと数年はここで頑張る」と執行さんは決意を新たにしている。

 海外で働く経験は、彼女たちの気持ちにも変化をもたらす。

 ベトナムで4月から働き始めた望月綾さん(24)は「ものに対する執着がなくなった」と言う。現地で貧しくてもたくましく、楽しそうに生きる人々を見てお金の使い方が変わった。ベトナムに来てから服やアクセサリーはめったに買わない。「日本にいる新卒の友人よりも貯金できている」と望月さんは笑う。

 営業という仕事柄、毎日のように違う人と出会う。交換した名刺は半年で300枚を超えた。休みの日は市場で買い物をしたり、昔ボランティアで出会った子どもたちのところに遊びに行ったり。「たくさんの出会いを通じて『やりたいこと』がまた増えてきた」と望月さんは実感する。

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