ベトナムにひきつけられる日本人女性 自由さが魅力Wの未来

8月下旬、ハノイ市にあるタイ料理店に20人超の女性たちが集まり、お酒や食事を楽しんだ。手に職を持つ日本人女性による「ハノイ女子会」だ。

昼休みになると路上はお茶やデザートを楽しむベトナム人女性たちでいっぱいになる(ハノイ市)

女子会が発足したのは2年前。「ハノイで働いている女性って何人いるんだろう」。そんな素朴な疑問から交流会を開くことが決定。メーカー、運輸、金融など様々な業種で働く女性が口コミで次々と集まった。年齢層は20~50歳代と幅広く、会員数は50人近くに増えた。

海外で働く女性を支援する「和みの会」は今月下旬、ベトナムでの就職を希望する女子学生や会社員を日本からハノイ市に招き、視察ツアーも行う予定だ。

なぜ、彼女たちはベトナムにひかれるのか。治安の良さ、周辺国より働く日本人女性が少ない、語学力がそれほど問われない、など理由は色々とある。しかし、ある女性会社員(30代)は「新興国ならではの自由な雰囲気ではないか」という。

妊娠しても女性はおなかの大きいまま出産直前まで働く。出産後は職場に幼児を連れてきても批判されたりはしない。むしろ同僚が代わる代わる子どもの面倒をみてくれる。ワークライフバランスという言葉は定着していないが、男性は定時に家に帰り、子どもの送迎など育児も分担するのが普通だ。

ベトナムには女性が働きやすい空気が流れている(ハノイ市)

仕事上も規則に縛られるよりは、人間関係を大事にする。ベトナム独特のそんな緩さが、日本人女性たちには「縛られない自由さ」として映る。

社会主義国ベトナムでは国民全員に労働が義務づけられ、男女の分け隔ては少ない。米マスターカードが調査した「女性の社会進出度調査」(2013年3月)によれば、ベトナムの女性労働参加指数は90.1とアジア・太平洋14カ国・地域で最も高い。

10月初旬、公益財団法人21世紀職業財団会長の岩田喜美枝さんは国連女性機関主催のイベントに誘われ、ベトナム・ハノイ市を訪れた。目についたのは路上や小売店の店先で元気良く働くベトナム人女性の姿だった。「働き方は緩やかで、残業もない。政府内には女性を引き上げようという動きもある。ベトナム人女性は日本人女性よりも閉塞感が小さいんじゃないか」。岩田さんはそう感じたという。

日本では非正規雇用や、仕事と育児の両立など、頭の痛い問題が目白押しだ。女性たちの憂鬱が深いほど「ベトナム詣で」は続くのかもしれない。(ハノイ=伊藤学)

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