再就職へ大学で学び直し 女性の人生「新たな一歩」
Wの未来
「これからはビジネスでも女性が活躍する時代。プログラムでしっかり学び、次へ道を切り開いてください」。10月1日、関西学院大学の女性向け再就職講座「ハッピーキャリアプログラム」が開講した。第6期となる女性26人が入校式に臨み、指導教員の説明に熱心に聞き入った。
講座は2007年に始まった。対象は大卒以上の女性。出産や結婚などを理由に仕事を辞めた主婦らに財務・会計やマーケティング、ビジネス英語など大学院レベルの内容を半年にわたって教える。会社員時代に身につけたビジネススキルを磨き直す。これまで89人が修了し、このうち85人が起業したり再就職したりして働いている。
定員は20人。今年は例年以上に応募が急増し、書類選考や面接を経ても絞りきれず、最終的に29人に合格を出し、うち26人が入校した。今春修了生と比べてほぼ倍増だ。指導教官の一人、大内章子准教授は「女性活躍推進が社会で盛り上がり、再就職を果たそうと考える主婦らが増えた」と説明する。面接では「夫は会社で偉くなり、子どもは成長する。自分だけ取り残されたくない」などと訴えた専業主婦が複数いたという。
新受講生の一人、中村智都さん(33)は専業主婦歴5年。商社に6年勤めた後、結婚退社し、出産。夫と娘の3人暮らしだ。このまま家事育児だけで人生を終えたくないと再就職活動を始めたが、パートの求人は多いものの正社員の口はなかった。「ブランクもあり、自分の力が企業社会で通用するのかも自信がない。英語力や財務・会計、マーケティングなど専門スキルを磨き直して、もう一度働きたい」と抱負を語る。
日本女子大学も再就職支援プログラム「リカレント教育課程」を07年から開いている。大卒以上の女性を対象に貿易実務や金融リテラシーなど専門性の高い講義を施す。受講生向けに合同会社説明会を開くなど再就職をサポートする。カリキュラムは1年制で、入校は春と秋の年2回。今年は合わせて52人が入校し、昨年(32人)より大幅に増えた。
第1子の出産をきっかけに女性の約6割は仕事を辞める。その結果、年齢別の女性就業率は子育て期で低くなり、折れ線グラフでは「M字カーブ」を描く。労働力人口が減少している昨今、政府はM字カーブ解消に取り組んでおり、2020年に25~44歳の女性就業率を73%(現状より約5ポイント向上)に引き上げる目標を掲げている。
ただブランクがあると、正社員として再就職するのは難しい。本人の能力とやる気に反してパートなど非正規として働かざるを得ないケースも多い。関西学院大と日本女子大の再就職講座はこうした現状に風穴を開ける狙いもある。
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