同居の母に月9万円払う 共働き妻のリスクヘッジ
ワーママ赤裸々座談会(3)
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川上さん…40歳。医療、広報。フルタイム勤務。都内在住。10歳息子、3歳娘を持つ。夫婦ともに地方出身だが、実母と同居し、5人暮らし。夫は長期海外出張で不在になることが多い。
佐久間さん…37歳。IT、企画。都内在住。フルタイム勤務。3歳娘を持つ。夫婦ともに地方出身。現在はベビーシッターを週1日手配している。実母は3~4カ月に1回ほど上京。
同居だからといって実母に頼り過ぎない、私のボーダーライン
――「祖父母の協力が得られるのは素晴らしいことですが、良好な関係づくりのためにも家事や育児など自分でやることを分けていらっしゃいますか?
川上 「うちは同居していても、送り迎えはなるべく自分でするようにしています。もちろん残業のときなどはお願いするけど、行けるときはできるだけ私が行く。予防接種や病気のときの病院も私が連れていきます。病気で保育園を休んだときは家で見てもらいますが…。学校の保護者会や行事、地域活動など外とのコミュニケーションが必要なことも、ほとんどすべて私がやります」
佐久間 「私も子どもが入院したときは付き添いが必要なので、自分が付き添います。病院での治療や薬などの判断を任されるのは、やはり母にはストレスが大きいようです。また、母が来るときや私が残業のときでも、夫との連絡は基本的に私がします。それが2人の関係を良好に保つことでもあるかなと思います」
川上 「母が得意なことは母に頼んで、苦手なことは自分で引き受けることが大事ですよね」
――皆さん子どもの通院や学校・園関係のことなどはご自分でされるんですね。
飯田 「私も通院は自分ですね。病気のときはやっぱり子どもは母親がいいときってありますよね。あと、朝食を作ったり、お皿を洗ったり、放っておくと義母はどんどんやってしまうので少しでも先回りをして自分からやるようにしています」
交通費や食費…義母専用のファミリー財布を用意する
――来てもらうための交通費や家事をお願いするときの食費など、掛かる費用については皆さんどうしているんですか?
飯田 「私は食費や子どもに必要なことに使ってもらう"ファミリー財布"というのを用意しています。そこにいつも5万円くらい入れておき、『必要なものはココから出してください』と義母にお願いしています。使っているお金など細かい金額などはチェックしませんし、義母には『私はあまりこの財布の中は気にしていません』という姿勢を見せるようにしています。子どもに栄養バランスのいい食事を作ってくれていて信頼していますし、義母もチェックされているとなるといい気がしないと思うので。でも、たまに見て半分くらいになっていたらまた5万円くらいになるように足しています」
佐久間 「うちは地方から、新幹線や飛行機や深夜バスなどいろんな交通手段で来るので、交通費を渡そうとするのですが、受け取ってくれません。父に出してもらっているのかなぁ。食費などの必要な生活費は、飯田さんと同じように別のお財布を用意しています」
川上 「私も食費などの必要経費は、別の財布を作って渡しています。ただ、それ以外にお礼ということで月9万渡してるんです」
一同 「9万円!!」
実母に毎月渡している9万円の行方はわからないけど、それでいい
――川上さんは、同居のお母様に月9万渡しているそうですが、それは食費とかではないんですよね?
川上 「ええ、食費などとは別で、あくまで母へのお礼にです。1人目の出産時に手伝いに来てもらったときの経費がそれくらいで、それを継承して9万円。確かにそれだけ手伝ってもらっていますし、その分をアウトソーシングしていたらもっとかかっていたと思うんです。だから、妥当だとは思っています」
――そのお金ってお母さんはどうされてるんでしょう?
川上 「分かりません。そこは詮索しないようにしています。同居してるからこそ、そういうプライベートな面に入り過ぎないのも大事かな、と」
飯田 「もしかしたら孫のための学資保険とか入ってくれてるかもしれないですね!」
川上 「そういう期待もうっすら持ちつつ(笑)、でも、そうでなくてもいいなと思ってます。渡してることで、母も割り切って手伝ってくれてることもあると思いますし。もちろん、遠くに住んでる義父母にも、誕生日や母・父の日などにはプレゼントを送っています。プレゼントってやっぱり大事ですよね」
お礼に、スカーフやキッチングッズ、子ども達からのプレゼント
飯田 「私は、時々義母や母にスカーフなどのプレゼントをあげるようにしています。あと、義母はキッチン用品や家電を新調すると、『自分が来るためにやってくれている』とうれしく思うらしく、お礼を言われるんです。だから、お箸やまな板などちょっとしたキッチン用品を新調する頻度をこまめにするときもあります」
佐久間 「プレゼントってやっぱり喜びますよね! 私の母は観劇が好きなので、泊まり込みで手伝いに来ているときも、週末は家事を私がやって、母に都内にいる母の旧友と観劇に行く時間を作るようにしています。子ども達には、母にお礼のプレゼントを渡すように促すこともあります。といっても、子どもが描いた絵とかですけど。やはり、孫からのプレゼントは喜んでいますね」
川上 「一緒に買い物に行ったり、映画に行ったり過ごす時間も大事ですよね。ただ、その場に、夫はいないほうがいいみたい(笑)。母にとっては、娘と孫だけのお出かけっていうのがうれしいみたいなんです。だから、時にはそんな時間も作るようにしています。母が孫と仲良くしている姿を見るのは、私もうれしいですし」
飯田 「私も、子どもを言い訳にしてお寿司などちょっといい外食に義母を連れていくようにしています。そのときは、ファミリー財布からは出さずに私や夫が払っています。これはあくまでお礼の気持ちとして、私達が払うのが当たり前だと思っているので」
佐久間 「やっぱり、いつもお礼を忘れないことでしょうか。洗い物や料理など、滞在中毎日やってくれていても『わあ~助かる! ありがとう!』ってちょっと大げさに喜んでみたり、お礼を伝えたりすることは大事。それと、帰るときには夫と子ども達とみんなで玄関まで見送って、みんなで『ありがとうございました』と言うようにしています。旦那ももちろん一緒に。その一言で母はすごく満足した顔をして帰っていきます」
飯田 「それは大事ですよね!」
佐久間 「最近は、母へのプレゼントを夫が考えるようになりました。『これは○○さん(夫)が選んだんだよ』と母に渡しています。これは、私もうれしいですね。過去にぶつかったことがある2人だからこそ(前回の記事「恐怖! 義母の前で「ぼくちん」に戻る夫 切れた妻」)、こういう日々のお礼が大事になっています」
一同 「ダンナさま、すてき!」
やっぱり、日々の「ありがとう」は忘れてはいけない
川上 「私は最近、母にお礼を言うことが減ってきたかも。帰ったらちゃんと言わなきゃ」
飯田 「親だからこそ色々文句を言ってしまうこともありますが、やっぱりすごく感謝しているんです。ファミサポやベビーシッターなどを頼んだこともありますが、やっぱり他人にお願いしたときとは、子どもの安心感が違うんですよね。子どもが無防備に自然体でいられる存在っていうのは祖父母ならではですよね。母達の手伝いがなかったら仕事を続けていられません」
佐久間 「本当に、子どもとの距離が近いんですよね。子どもから祖父母への信頼も強いので、安心してお願いできてます。お礼をしてもし切れないくらい!」
川上 「うちは同居なので、子ども達もおばあちゃんに対する遠慮がなく、口げんかみたいになることもあります。でも、子どもが本気でぶつかれる大人が親以外にもいることっていいな、と思います。それに、母も子どもが良くなるように本気で怒ってくれる。こういう存在ってすごく大事だと感じています」
一同 「いろいろあるけど、おじいちゃん、おばあちゃん、本当に感謝しています!!」
(ライター 岩辺みどり)
(日経DUAL2014年4月14日掲載記事を基に再構成)
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