iPhoneと三脚・黒い紙で鮮やか奇麗な花火写真
夏も本番。各地で花火大会が開かれる時期になった。そこで今回は、花火のきれいな写真を撮る方法をテーマに選んでみた。行楽地に出かけて楽しむ大きな花火大会から、家の近所で遊ぶ手持ち花火まで、手軽にきれいな写真を撮るコツを紹介する。本シリーズでこれまでに紹介してきたiPhone(アイフォーン)での撮影テクニックを活用すれば、腕はさらに上がるだろう。今年の夏は、ひと味違った花火の写真を撮ってみよう。
■ピント固定し"待ち伏せ"
まずは撮影時のマナー。周りで花火を楽しんでいる人の邪魔にならないためにも、フラッシュはオフにしておこう。そもそもiPhoneカメラのフラッシュは発光しても遠くまで届くほど強くはないので、写真へのプラス効果はないのだ。
打ち上げ花火を撮ろうとすると、夜空にiPhoneを向けて待ち構えることになる。しかし、このままではピントの位置が定まらず、せっかくきれいな花火が上がってもピンぼけになってしまう。
これを防ぐために、「AF/AEロック」機能を活用しよう。料理写真編でもお伝えしたように、画面を長押しすることでピントを固定できる。花火の上がる方向に建物などがあればそれをピント固定に利用するか、花火を1つ2つ撮るのをあきらめて夜空に咲いた大輪に向けて長押しすることでピントを合わせておこう。
そして撮影のタイミングが重要。前回の撮影塾でも説明したように、画面のシャッターボタンを押しておいて、「ここだ」というときにボタンを離してシャッターを切ろう。
■裏技は三脚と黒いボール紙
通常の撮影方法でも十分にきれいな写真は撮れるが、ポスターや雑誌などでよく見かける花火写真の多くは、花火がいくつも重なった構図になっている。こうした写真はほとんどの場合、長時間露光で花火の光の軌跡を重ねて撮影している。
大会によっては打ち上げられる花火の数が多くない場合もあり、写真に華やかさやにぎやかさを加えるためにも使われる手法だ。本シリーズで以前に紹介したアプリ「Magic Shutter」でこれに挑戦してみた。
必要な道具は一般的な花火撮影の道具と同じにした。三脚と黒いボール紙。シャッターを開けっ放しにして、花火が上がっていない間はボール紙でレンズの前をさえぎるのだ。そして花火が上がったときに、ボール紙を外して、大輪を重ねていく。もちろん必ずしも黒いボール紙でなくてもいい。
手のひらでも問題ないが、レンズをさえぎったときに手に光が当たってレンズに入り込まないように気をつけよう。
■手持ち花火、表情撮るなら横から
家族や友達とする手持ち花火も夏の思い出だ。そんなワンシーンを写真に残そうとカメラを向けるがこれが案外難しい。
花火を楽しむ子どもの表情をつい、正面からねらいがちになるが、ちょっと待ってほしい。落ち着いて横に回って撮影してみよう。陰影が写真にあらわれて雰囲気が出るし、煙も顔にかかりにくくなる。できれば明るい火花を放つ花火の時をねらうと、顔まで光が届いて撮りやすい。
こういうシーンでも基本的にはフラッシュをたかない方がいい。陰影が失われて平板な写真になってしまうからだ。
しかし、iPhoneのライト部分にオレンジ色のセロハンなどを張って発光すれば、自然な火の色味を保てるので試すのも手だ。
また「Magic Shutter」のような長時間露光ができるアプリを使えば、花火をペンライトに見立てて、光の軌跡で字や絵が描ける。アートのような作品を友達と作って楽しむのもいいだろう。
インターネットで「花火」と「写真家」をキーワードに入れて検索すると、山ほどカメラマンの名前があらわれる。それぐらい花火は人を魅了する被写体でもあるし、デジタルカメラ時代には誰でも撮影できる被写体となった。
個性的な花火大会の写真を撮るためには、事前のロケハン(下見)をしっかりして当日に臨もう。もっとも、「ここがベストだ」と思うようなところには、自然と多くのカメラマンが集まっているものだが。
(写真部 小林健・寺沢将幸・竹邨章)
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