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職場の知恵

派遣社員のもう1つの顔は六大学野球新聞発行人

2012/5/31

YELLと織田淳哉さん(早大-巨人)から贈られた色紙

岡田さんの生活は六大学野球を中心に回っている。土曜日、日曜日、もつれれば月曜日まで神宮球場で取材、火曜日から木曜日にかけて記事執筆、レイアウト作業に追われる。

金曜日に1枚5円のコピー機で200部制作し、土曜日に最新号を持って神宮へ。読者からのカンパもあるが、原則無料で配布している。

「私は野球の専門家ではない。1人のファンに過ぎない」という岡田さんの姿勢は編集方針にも表れる。毎年秋の最終号に掲載される「YELLの選ぶベスト9」や「YELL人気調査」では、登場する選手の顔ぶれが、新聞、放送の専門記者が選ぶ正規のベスト9とずいぶん違うことが多い。

読者目線の人気調査、斎藤佑樹の意外な結果

例えば、50年ぶりの早慶優勝決定プレーオフの末、早稲田が優勝した2010年秋、YELLの人気調査ランキングで、「持っている男」斎藤佑樹はランク外だった。

リーグ戦でその斎藤に投げ勝った東京大学の鈴木翔太が2位に入った。ランキングは読者の投票で決まる。「弱いチームで健気(けなげ)にがんばる選手、文武両道で学生らしいさわやかな選手に票が集まる」(岡田さん)という。

5月19日、神宮球場からほど近い日本青年館で、YELLの創刊20周年を祝う会が開かれた。

「東大を優勝させよう会」「神宮ネット裏三田会」など、各大学を応援するOBたちのサークルが、自発的に呼びかけ、当日は150人を超える六大学野球ファンが集まった。

出席者を代表し、法政OBで通算48勝の最多勝記録を持つ山中正竹氏が「YELLは六大学野球ファンの拡大に大きな貢献をした」と祝辞を述べた。会に出席した「ネット裏三田会」の顧問、星野仁一氏は、「20年間、地道にがんばってきたのは称賛に値する」と語る。

高橋由伸選手(慶大)が1位となった1997年の人気ランキング。読者投票は意外な結果が出ることも

創刊間もないころは、神宮球場近くで配布しても、受け取ってくれない人も多かった。今では楽しみにしている人が増え、用意した200部は瞬く間にさばける。インターネットで手軽に情報収集ができる時代だからこそ、手作りのコピー新聞に愛着を感じるのかもしれない。

岡田さんは「頼まれたわけでもないのに、何でこんなことを続けているのだろう、馬鹿じゃないかと思う時もある」と語る。それでも好試合、好プレーをみれば、その感動を伝えたいという思いは捨てきれない。体力とお金の続く限り、YELLを発行し続けるつもりだ。

(鈴木亮)

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