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やっと入れた保育園… でもそこは地獄だった 待機児童の実態(2)

2014/1/24

■顔や手に黒いべとべとしたものが

慶太を迎えに行くと、いつも顔や手には黒いベトベトしたものが付いていた。汚れが付いたのりのような固まりが何個も。注意して周りを見ると、他の園児たちの顔や手にもこびりついていた。カーペットのフロアは、いつ見ても薄汚れていた。一時期預けていたママはフロアを這うゴキブリを2回見たと言っていた。赤ちゃんたちは毎日そこを這っており、ぞっとした。

また、保育士が保護者の陰口をたたいているのが聞こえてきたこともあった。「E君のお母さんってケバくてびっくりするよね」。E君の耳にも入るであろう音量で話している。0歳だから意味が分からなくても、E君は何かを感じ取り、幼いながらに傷付いているはずだ。そして、先生が膝に乗せて唯一あやしているのは、いつも同じ、クラスでも一番かわいい赤ちゃん。他の子に声をかけている場面は、あまり見られなかった。

■おしゃべりな慶太が、言葉を発しなくなった

息子に持たせた手作りお弁当は、毎日きれいに洗って返される代わりに残飯も捨てられ、食べている量も分からない。着替えをしている様子はなく、別の子の名前の付いたオムツをはいて帰ってくることも3日に1回はあった 。

そんなさまざまな異変を私が感じている間、慶太にも異変が起きていた。まだ言葉はしゃべらないとはいえ、いつもニコニコと笑い、人懐っこくて、「ああー」「ううー」と話すことが大好きだった慶太が、日増しにしゃべらなくなり、笑わなくなった。たった1歳の子が、こんなに変わるのかと親の私が驚くほど、急激に慶太の表情は凍り付いていった。「私の思い込みかもしれない。保育園で初めて親と離れて過ごすせいかも」と思って、家ではいっぱい一緒に遊んだり抱きしめたりしたが、日々悪化。夫も同じことを言い始めた。保育園のノートには、「慶太くんはかわいいですね」という空虚なフレーズが繰り返されるばかり。何をしたかといった活動報告はほとんどなかった。

そして、心配になり、2人で迎えに行くことができたある日。これまでは私たちの顔を見ると泣きながらも走ってきた息子が、私たちを見て絶望したかのようにその場で泣き出した。今までに見たことのない、救いがない泣き方だった。帰り道、息子を乗せた夫の自転車を、涙があふれる目で見つめながら、「もう絶対ここから息子を出す」と決意した。(最終回へ続く)

(ライター 内藤智子)

[日経DUAL2013年12月5日掲載記事を基に再構成]

働くママ&パパに役立つノウハウ情報サイト「日経DUAL」では「共働き夫婦の本音と実態」、「育児休業はいつからどのくらい取れる?」 「これが『待機児童』の実態だ」などを掲載している。

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