
続いて俳優のギャラについて、前出の芸能プロダクションのマネジャーA氏に解説してもらった。
バラエティー番組と同様にドラマもコスト削減が進んでおり、連ドラの主演俳優のギャラは、「かつては1話300万円でしたが、現在は100万~200万円が相場になっています」という。10話で合計1000万~2000万円のギャラとなるが、低視聴率のイメージダウンを避けるため、最近は主演をやらせたがらない事務所が増えている。男女ツートップやチームもの、群像劇のドラマが増えているのはそのためだ。
映画のギャラは一般にゴールデンの連続ドラマより安いとされてきたが、ヒットが見込める大作の場合は例外だという。「ベストセラー原作」で「東宝系」、「テレビ局製作」の大作という条件がそろえば、主演俳優のギャラは1000万円、2番手でも500万~700万円という。「撮影の拘束期間が4カ月のドラマに対して、映画の撮影は1カ月程度。同じ主演なら大作映画のほうが効率よく稼げる」というわけだ。
細かいところでは、映画の場合は舞台あいさつなどのプロモーションは基本的にはギャラは派生しない。一方、ドラマのプロモーションの場合は「番宣ギャラ」という通常より安めの設定料金がある。ただし1日電波ジャックなどで、各番組数分の出演に対しては、ギャラは発生しないそうだ。

公演数の多い芝居は高収入に
舞台のギャラが安いのは一般にも知られているところだ。例えば、小劇団に若手俳優が客演した場合、1ステージのギャラが3万~5万円程度。10回公演で30万~50万円というのが平均的な例。
蜷川幸雄など有名演出家の公演や劇団☆新感線など人気劇団の舞台に客演すれば、主演なら1ステージ10万~20万円、脇でも3万~4万円が支払われる。こうした人気公演の場合は地方を含めたロングランとなる。これが意外と大きい。合計50ステージを数えることもあり、そうなると主演なら合計500万~1000万円となり、ドラマや映画に出演するのと見劣りのしない収入になってくる。
今回紹介しているギャラは、いずれも所属事務所に支払われる金額で、これを本人と事務所が分けることになる。その比率は、事務所ごとにかなり違うようだ。俳優の場合は、大手の芸能事務所では本人4割、事務所6割という比率が多く、俳優・劇団系の事務所は、逆に本人6割、事務所4割と俳優に手厚い比率になるケースが多い。もっとも、「大手の芸能事務所の場合は、現場への車の送迎がついたり、CMを取ってくる営業力が強いなど、マネジメント面のサポートが強力で、一概にどちらのタイプの事務所がメリットが大きいとはいえません」。