「頭を使いながら運動」が効果的

図1 軽度認知障害の高齢者100人が対象。1回90分の運動を週2回、6カ月間続けた群は、MRI(磁気共鳴画像)検査の結果、脳の萎縮が抑えられていた。参加者は計算したり、詩を作ったりしながらエアロビクスなどの運動をした。一方、講義を受けただけの群では脳の萎縮がやや進んでいた(データ:Plos one ; 8,4, e61483, 2013)

もの忘れを改善し、将来の認知症予防にもつながる一挙両得の7つの方法を紹介しよう。

まずは運動。「お薦めは知的活動を組み合わせた有酸素運動」と朝田教授。例えば、暗算や一人しりとりをしながら歩く。有酸素運動が認知機能の改善に効果的なことは知られているが、そこに「頭を使う」をプラスするのが鍵。2つのことを同時に行う「デュアルタスク」が、脳をより刺激する。軽度認知障害の人が6カ月間、これを続けた結果、脳の萎縮が抑えられたという報告も(図1)。

食事では「サンマやサバなどに含まれる不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)、緑黄色野菜などに多いビタミンA、C、Eは、認知症予防に働くので積極的に」と朝田教授。

睡眠は少なくとも1日6時間は確保したい。疲労回復以外に、記憶を定着させる働きもある。「昼寝もいい。ただし、1時間以上寝るとリズムが狂うので、30分以内で」と朝田教授。おしゃべりもいい。「考えていることを口に出し、相手の反応に合わせて言葉のやりとりをする。これはすごく頭を使うこと」と牧野医師。ネット会話ではなく、直接話すのがポイント。

「書くこと」も効果的。「悩み事を思いつく限り書き出し、優先順位をつけてみる。頭が整理され、焦りや混乱が減って、もの忘れも減る。私もやっている」と朝田教授。脳トレも続けたい。「仕事でも何でもルーティン化すると、頭をあまり使わなくなる。敢えて面倒くさいことをして、脳に負荷をかける。これが脳を鍛えることになる。例えば子供の場合、1日15分の脳トレを1週間に5日、3カ月間続けるとIQが上がる。脳はやればやっただけ、伸びる。年齢に関係ない」と諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授。

そして最後に生活習慣病の予防。「中年期の高血圧や糖尿病、肥満といった生活習慣病は、認知症の高いリスクになる。ならないように気をつけ、もしなってしまったらきちんと治療することが重要」と朝田教授。

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