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揺れる欧州、女性役員クオータは要らない?

2014/3/31

 2020年までに社外取締役の40%を女性にすべし――。いま欧州ではこんな指令案を欧州連合(EU)全体で導入するかどうかで揺れている。経済団体が強く抵抗し、ドイツ、英国、さらには北欧までが反対派に回っている。議論の背景にあるのは何か、日本にも何らかの影響はあるのか。現地で賛否の声に耳を傾けてみた。

 「げたをはかせてもらって昇進したと思われたくない」(女性管理職)

 「外から強制しても、組織の文化は変わらない」(経済団体男性マネジャー)

 「変化のスピードを上げるためのツールとして必要だ」(女性経営者)

経営戦略コンサルティング会社社長のクリスティーナ・ビィッシニ氏
ベルギー・ブリュッセルにある欧州議会

 欧州はいま、女性役員クオータ制(割当制)の導入を巡って揺れている。2013年秋、「EU域内の大手上場企業は2020年までに社外取締役の40%を女性にすべし」という指令案が欧州議会で圧倒的多数で可決され、理事会の決定を待つところとなった。EU加盟国を平均すると2013年時点で16.6%の女性役員比率を、2020年までに40%にまで引き上げようというものだ(図1図2)。経済団体や経営者からは反対の声が上がり、EU加盟国も国によって意見が分かれている。

 賛否の声に耳を傾けると、意外にも推進派の女性らは異口同音に「最初はクオータ制には反対だった」と言う。「げたをはかされて昇進したと思われたくない」というのが、その大きな理由だ。2006年から社外取締役を務めてきた経営戦略コンサルティング会社社長のクリスティーナ・ビィッシニ氏もそのひとり。4年前、ビィッシニ氏はある取締役会でクオータ反対の持論を覆すような体験をした。

■変化のスピードを上げるため、1回だけボールを蹴る

 「なぜ役員会に女性が、しかも外国人がいるんだ」

 ある中堅エンジニアリング会社の社外取締役に就き、最初の取締役会でのこと。役員会の議長が、彼女の顔を見てこう発言した。役員に多様な人材を迎えて役員会を強化しようとしたオーナー経営者から、ビィッシニさんは社外取締役として招かれた。エンジニア出身で豊富な海外ビジネス経験を買われての就任だった。ところが、国内ビジネスには精通しているものの海外ビジネスの重要性が増していること、また業界が多様化していることをあまり意識していない議長には不快だったようだ。

 その後ビィッシニさんは、「議長に恥をかかせないように」時には念入りに根回しをして、社内の各部署と対話を重ねて海外ビジネスの立ち上げに貢献した。最終的には役員会でも認められるところとなった。こうした経験を通して「クオータを有効なツールとして変化を起こさないといけない」と考え始めたという。

各国の上場企業の女性役員比率(左)・日米欧の女性役員比率の推移(右)
図1 各国の上場企業の女性役員比率。日米は米コンサルティング会社GMIレーティング、欧州は欧州委員会調べ。いずれも2013年
図2 日米欧の女性役員比率の推移。日米は米コンサルティング会社GMIレーティング、欧州は欧州委員会調べ

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EUクオータ制女性活用

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