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「アスリート」「お年寄り」が売れた 2011年書籍ランキング 日経エンタテインメント!

2012/2/20

『日経エンタテインメント!』では2011年に販売された書籍・マンガを総点検した。年間ベストセラー1位には、テレビドラマ化されたミステリー『謎解きはディナーのあとで』が輝いたが、主流は健康関連書やノウハウ本といった実用書。アスリートが執筆した本も好調で、サッカー日本代表キャプテン、長谷部誠選手の『心を整える。』が100万部を突破した。「お年寄り本」「反骨ヒーロー本」が活況だったのも特徴だ。出版業界に詳しい早稲田大学客員教授の永江朗さんが解説する。
推理力のないお嬢様刑事が、執事に事件を解決してもらう連作ミステリー。事件の謎とその解明に重きを置く本格推理をベースに、「お嬢様の目は節穴でございますか?」と執事が毒舌をはきながら話は進む。キャラ立ちした2人の、ノリが良くコミカルなかけ合いが物語を彩る

編集部(以下、) 総合1位に、『謎解きはディナーのあとで』が輝きました。

永江 2010年9月の新刊ですが、本屋大賞を受賞して勢いがつきましたね。堅苦しくさも、シリアスさも一切ない娯楽作として、本を読み慣れない人にも広がりました。ユーモアミステリーのジャンルでは赤川次郎さんに続く人が長らく出ていなかった。そこに、東川篤哉さんがうまく入った形です。

おバカな物語のようでいて、実は手の込んだ作り方をしています。主人と執事のコンビで謎を解き、執事が主人に失礼なことを言う設定は、イギリス人作家、P・G・ウッドハウスによる古典ミステリー「ジーヴス」シリーズに通じます。読者を引きつける謎の提示、意外性に満ちた奇想天外なトリックなど、謎とその解明を主目的とする本格ミステリーの条件を備えてもいます。アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)のCDジャケットで有名なイラストレーター、中村佑介さんが手がけた表紙のインパクトも大きかったですね。

オリコン調べ(oricon.co.jp)。売上部数は、集計期間(2010年12月27日~2011年11月6日)内の推定。2010年12月27日以前に発売された作品の場合、推定累計部数を併記。なお、このランキングはオリコンが発表している「2011年オリコン年間ランキング」の集計期間とは異なる

 100万部以上売れた作品は、2009年は『1Q84[1]』、2010年は『もしドラ』(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』)と各1作でしたが、2011年は5作も。

永江 2月までに、5位『体脂肪計タニタの社員食堂』、10位『くじけないで』と、2011年以前に発売された作品が累計でミリオンを超える好調な滑り出しでした。それが東日本大震災で2011年はダメかという気分になった。でも実際は、本は読まれていたんですね。

■出版不況は下げ止まりか

2010年と比べると、雑誌が下がり続けているから出版物全体は前年比マイナスですが、書籍はそれほど落ちていない。現在の雑誌・書籍の売上高、2兆円前後は1988年、1989年と同レベルなんです。その当時我々は本が売れないとは思っていなかった。むしろ、吉本ばなな、村上春樹、村上龍が続々ベストセラーを生み、「文芸ルネサンス」といわれていました。十数年かけてバブル期に水増しした分が収縮し、やっと正常化したと見ることもできます。

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