【音楽編】レコード各社がライブなど音楽周辺事業の拡大に注力

日本レコード協会のデータによれば、2013年1~10月のオーディオソフトの生産実績は金額ベースで前年比9%のマイナス、同年1~9月の有料音楽配信売上実績は24%の大幅減といずれも前年割れとなった。これに伴い、各レコード会社は、従来のCDや配信で楽曲を売る「音楽事業」だけに依存しないビジネスモデルへと大きく移行しつつある。

最も顕著なのがエイベックス・グループ・ホールディングス(エイベックス)だ。1990年代半ば以降、小室サウンドブームとともにミリオンヒットを連発してきたが、近年はレコード会社から「総合エンタテインメント企業」への転換を打ち出した。14年度第2四半期まで(13年4~9月)の事業別売り上げを見ると、音楽事業の構成比は3分の1に満たない(図2)。代わって、力を入れるのが「マネジメント/ライブ事業」と「映像事業」だ。

図2 音楽事業の売り上げは前年同期比、約28億円のマイナス。比率は10ポイント下がった(数字はいずれも事業内消去反映後)

マネジメント/ライブ事業では、アーティストの発掘、ライブ制作、グッズの制作・販売、ファンクラブ運営など、いわゆる「360度ビジネス戦略」を展開、順調に事業を拡大している。例えば、ライブは第2四半期までに前年同期比42.8%増の300本を制作。東方神起やSUPER JUNIORら大規模公演も後押しとなり、同期間の売り上げは前年同期比39.6%増の213億円となった。

音楽だけにはこだわらず、事業モデルが多岐に

映像事業の拡大も続く。2009年にNTTドコモとの合弁で携帯電話向けの定額制映像配信サービス「BeeTV」、2011年にはスマートフォン向けの「dビデオ」、さらに2013年2月にはソフトバンクとの合弁による「UULA」を開始した。月額525円で音楽・映画・オリジナルドラマなど幅広いジャンルの映像が見られるdビデオは、2013年7月時点で446万人の会員を有するなど、収益の柱に育っている。

エイベックス同様、以前から関連会社でマネジメント事業や出版・放送のメディア事業などを手がけてきたソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)。2013年はライブに関して積極的な動きを見せている。

関連会社のZeppライブエンタテインメントは海外フェスの展開を強化。2013年5月以降、香港、韓国、台湾での音楽フェスを主催または共同制作し、同年9月と11月にはインドネシアとシンガポールで開かれた「アニメ・フェスティバル・アジア」に出資した。

2013年8月には初音ミクなどボーカロイド製品を販売するクリプトン・フューチャー・メディアと共同でコンセプトCDを制作し、横浜アリーナにて初音ミクのライブイベントも実施した。さらに11月に動画サイト発のアーティストが集結するイベント「超流 APPEND FES.2013」を開催するなど、アニメやネット系ジャンルへのアプローチを強めているのも特徴だ。

一方「No.1 Music Company」を目指すと宣言し、2013年4月にはEMIミュージック・ジャパンを吸収合併してアーティスト数が1.5倍となったのがユニバーサルミュージック(ユニバーサル)。一見、その動きは他社と一線を画しているように思えるが、こちらも3月から「U-EXPRESS」と題した自社主催のライブを3回実施。2014年3月にもケイティ・ペリーらが出演するライブを予定するなど、シリーズ化を図っている。

2013年、ユニバーサルはワールドワイドで初めて音楽配信がパッケージの売り上げを上回った。米国を抜いて音楽ソフトの売り上げが世界一となり、比較的変化のゆるやかな日本も、もはや人ごとではない。今後レコード会社にはパッケージの魅力を打ち出しつつも、海外市場で急伸する定額制ストリーミングへの取り組みと、周辺事業の強化という両面への対応が強く求められるだろう。

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チャイナマネーが存在感を発揮する